250 / 306
千尋とハリウッド委員長2
はぁっと大きくため息をひとつ吐いて、風紀室のドアをノックした。
「有栖川です」
俺はハリウッド委員長の待つ風紀室へと入った。
「座れ」
「はい」
俺がソファに座ると、委員長も隣に座った。
「お前、いつの間に書記の南方を落としたんだ」
「落とすって………ナウシカ兄さんとは友達です」
委員長のいつもの冗談だ。俺はちょっと肩の力を抜いた。
「今朝の事だが、南方から一通り聞いた。お前からも話が聞きたい」
「あ、今朝は………」
俺は正直に経緯を話した。
高槻先輩に内緒で抜け出したこと、変態に襲われかけたこと。
「で、ナウシカ兄さんが助けてくれたんです」
俺が話し終えると、委員長が俺に聞いてきた。
「………お前、なんで南方を気にかけてたんだ?」
「なんか寂しそうだなって思って。ほっとけなかったというか」
「南方の事が好きなのか?」
「あ。はい」
「恋愛として好きかって聞いてんだ」
「ええ!? 俺ホモじゃないし! 友達に決まってるでしょ」
何言ってんだ? ナウシカ兄さんにも失礼だ。
「まぁ………お前はそうだよなぁ」
「?」
委員長はハァ~っとため息を吐いて、呆れた声で言った。何なんだ?
「ちょっと面倒くさい事になりそうだが、お前に自覚しろって言っても無駄だしなぁ。もう、そのまんまでいろ」
そう言って、頭をポンポンと軽く叩かれた。バカにされてるっぽくて、ムッとすると
「しょうがねぇから、俺がフォローしてやる」
委員長はニヤッと笑った。
「いったい何の………」
「南方が今回の件、お前はいなかった事にしてくれと言ってきた」
「えっ?」
「俺もその方がいいと思う」
「何で?」
委員長は少し険しい顔になった。
「あの生徒をそそのかして平野を襲わせた奴がいる。今度はお前を狙わせた」
「ええ!?」
「さっき西宮に尋問させたが、反省部屋の鍵を開けた奴が、お前の名を騙ったそうだ。そして、扉を開けてお前の後を追わせた」
俺は唖然としてしまう。
「反省部屋の鍵は風紀と担当の教師と寮長の枚方が持っている。だが、全員ちゃんと鍵は持っている。怪しいのは枚方だが」
「ひらパー兄さんはそんな事しないでしょ」
「ああ。誰かが枚方の部屋から鍵をくすねて、こっそり戻したんだろう」
「………」
展開が昼ドラみたいだ。ドロドロのやつ。高校生がそんなことするなんて。
ともだちにシェアしよう!