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千尋とハリウッド委員長2

はぁっと大きくため息をひとつ吐いて、風紀室のドアをノックした。 「有栖川です」 俺はハリウッド委員長の待つ風紀室へと入った。 「座れ」 「はい」 俺がソファに座ると、委員長も隣に座った。 「お前、いつの間に書記の南方を落としたんだ」 「落とすって………ナウシカ兄さんとは友達です」 委員長のいつもの冗談だ。俺はちょっと肩の力を抜いた。 「今朝の事だが、南方から一通り聞いた。お前からも話が聞きたい」 「あ、今朝は………」 俺は正直に経緯を話した。 高槻先輩に内緒で抜け出したこと、変態に襲われかけたこと。 「で、ナウシカ兄さんが助けてくれたんです」 俺が話し終えると、委員長が俺に聞いてきた。 「………お前、なんで南方を気にかけてたんだ?」 「なんか寂しそうだなって思って。ほっとけなかったというか」 「南方の事が好きなのか?」 「あ。はい」 「恋愛として好きかって聞いてんだ」 「ええ!? 俺ホモじゃないし! 友達に決まってるでしょ」 何言ってんだ? ナウシカ兄さんにも失礼だ。 「まぁ………お前はそうだよなぁ」 「?」 委員長はハァ~っとため息を吐いて、呆れた声で言った。何なんだ? 「ちょっと面倒くさい事になりそうだが、お前に自覚しろって言っても無駄だしなぁ。もう、そのまんまでいろ」 そう言って、頭をポンポンと軽く叩かれた。バカにされてるっぽくて、ムッとすると 「しょうがねぇから、俺がフォローしてやる」 委員長はニヤッと笑った。 「いったい何の………」 「南方が今回の件、お前はいなかった事にしてくれと言ってきた」 「えっ?」 「俺もその方がいいと思う」 「何で?」 委員長は少し険しい顔になった。 「あの生徒をそそのかして平野を襲わせた奴がいる。今度はお前を狙わせた」 「ええ!?」 「さっき西宮に尋問させたが、反省部屋の鍵を開けた奴が、お前の名を騙ったそうだ。そして、扉を開けてお前の後を追わせた」 俺は唖然としてしまう。 「反省部屋の鍵は風紀と担当の教師と寮長の枚方が持っている。だが、全員ちゃんと鍵は持っている。怪しいのは枚方だが」 「ひらパー兄さんはそんな事しないでしょ」 「ああ。誰かが枚方の部屋から鍵をくすねて、こっそり戻したんだろう」 「………」 展開が昼ドラみたいだ。ドロドロのやつ。高校生がそんなことするなんて。

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