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千尋とハリウッド委員長3
「平野の制裁の邪魔をしたお前に対する脅しだろう。余計な真似はするなってな」
聞いてるだけでムカムカする。委員長は関わるなって言うけど………
「俺、平野と関わるのやめないから。もう友達だし」
俺の言葉に委員長は笑って、俺の頭をくしゃりと撫でた。
「お前ならそう言うだろうと思ったよ」
「委員長」
「今回の件は悪質だ。お前、南方がいなかったらヤバかったぞ。分かってるのか?」
あ。またヘコんじまう。
委員長には何度も自覚しろって言われてた。この体は『山田太郎』じゃない。『有栖川千尋』だ。てゆうか、俺はもう山田じゃないんだ。
「………分かってる。あの変態も俺の事、弱いって言ってた。情けないけど俺って非力だし。ちょっと調子にのってたから、思い知らされたし………」
委員長が俯いていた俺の顎に指を引っ掛けて、クイっと顔を上げさせた。
「お前は弱くない」
いつになく真剣な目で見つめられてる。
「誰だって自分が可愛い。無視して関わらない事も出来るのに、お前は平野に手を差し伸べた。俺や生徒会連中にも臆さずまっすぐ意見を言う」
「………委員長」
「それに、あの引きこもりの王子さまを自ら外に出させたんだ。すげぇぞ」
委員長は力強く言った。
「お前は強い」
俺はじーんとして、ちょっとウルっときてしまった。
「泣いちゃうのか? 可愛いなぁ。」
「あっ! ちょっと」
逞しい腕で、ぎゅっと抱きしめられた。苦しいってば! ハリウッド筋肉め。
「やっぱり抱き心地いいな、お前」
「バカにしてっ!」
「バカになんてしてねぇよ」
腕が緩んだので、ぷはっと顔をあげた。
「今朝、お前がいた事は俺と西宮と南方しか知らない。お前も誰にも言うな」
「けど………」
「お前がいた事になるとややこしい。いいから黙ってろ。高槻にもな」
あ。また高槻先輩に嘘を吐くのか。
「しょげた顔するな。高槻に心配かけない為の嘘だと思え。いいな?」
「はい」
「いい子だ」
委員長は俺の頭をよしよしと撫でた。
俺は今回は余計な事せずに任せておこうと思って、大人しく頷いたのだった。
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