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食堂と宣戦布告2[side 御影]
【side 御影】
食堂が騒ついたが、俺は構わず続けた。
「この件に関しては、南方の親衛隊は全面的に協力してくれるそうだ」
南方の親衛隊隊長の西中島が表情を引き締めて俺を見た。南方自身は少し不安げだ。
西中島は真面目で一途だ。
南方の親衛隊は西大路の次に規模が大きい。この際、利用させてもらう事にした。
生徒会の面々に視線を走らせる。
西大路は憮然とした表情をしていた。
難波はいつものニヤけ顏だ。
瀧山は南方を気遣う素振りを見せつつ、内心面白くなさそうだった。
その背後の瀧山親衛隊隊長の西京極の顔が青ざめた。
「………」
桜ノ宮は表情が読めない。
隣の南方を心配げに見ながらも、全く心配しているようには感じない。
やはり胡散臭い奴だ。
南方と友人だと言うが、桜ノ宮は全く南方に興味が無いように感じる。
俺の勘が正しければ、全ての元凶は桜ノ宮だ。
これだけ派手に戦線布告してやったのに全く狼狽えもしない。
この状況を冷静に見て、分析しているように感じる。
………不気味な奴だ。
「情報がある奴は風紀の番号に電話しろ。風紀室に直接来ても構わない。風紀の誰かに話してもいい。以上だ。昼休み中に邪魔したな。飯食ってくれ」
そう締めくくって振り返ると、姫が俺を見上げていた。
「委員長。これ、宣戦布告じゃないの?」
「ん?」
「かっけぇ。さすがハリウッド!」
姫が子供みたいに笑って言った。ああもう、こいつは可愛いなぁ。
「派手なことを………」西宮がため息まじりに呟いた。
「まぁ、ハッキリさせた方がいいだろう。影でこそこそしていた奴も動きにくくなる」と、高槻。
「平野にちょっかいもかけにくくなるっしょ」と、中津。
平野は不安そうだったので、その頭をわしわしと撫でてやった。
「まずは飯だ」
「は、はい」
俺たちは生徒会連中とは離れたテーブルに向かって歩いた。
姫のクラスメイトの園田とかいう奴が
「あぁああ………風紀VS生徒会だ。滾る………風紀側には巻き込まれ平凡と眠り姫。生徒会側には非王道だ。当然僕は平凡側ポジションだ。非王道の正体はついに暴かれるのか………イベント満載だ。この学園に来て良かった………!」
と、謎な事をブツブツ言っていたが、無視した。
「園ちゃん。心の声が全部出てるから」
そんな園田に美村が小声で注意をしていた。
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