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桜ノ宮とももちゃんと山田1

   【side 千尋】 委員長が宣戦布告してから二日後。 風紀もいろいろ忙しいみたいで、俺はまた美村と園田と昼飯を食べるようになった。 平野はクラスに友達ができて、そいつらと食べてる。 委員長が派手にぶちまけたおかげで、平野に嫌がらせしてた奴らは逆に何もできなくなったみたいだ。 なんというか………風紀サイドと生徒会サイドがはっきり分かれたって感じだ。 桜ノ宮は相変わらず生徒会連中とつるんでるが、平野を連れまわすのをやめた。 平野が「生徒会に近付くと反感を買うし、ぼくは行きたくない」ってハッキリ断ったってのもあるみたいだけど、驚くほどあっさりと引いた。 で、風紀サイドの生徒は平野の味方になった。 例の委員長に抱かれたいガチムチ系の生徒たちは平野を「ちっちゃくて可愛い小動物」みたいに可愛がってて、「何かあったら助けを呼べ」って連絡先交換してた。 園田いわく、あわよくば委員長とお近づきになりたい下心アリらしいけど。 昼休み。 いつものベンチで昼飯だ。 今日はクレープ屋のケータリングが来てた。クレープで腹膨れるの?って思ったけど、見てみたら惣菜系も豊富で美味しそうだった。 あと、一緒に惣菜マフィンも売ってた。 俺はツナサラダのクレープとほうれん草のマフィン。 美村は照り焼きチキンのクレープと枝豆のマフィン。 園田ははちみつとリンゴのメープルクレープとチョコバナナのクレープ。(園田。甘いのばっかじゃねぇか) 「落ち着いて良かったねぇ」 美村がほのぼのと言った。 「御影委員長効果は絶大だね」 「うん」 「でも油断は禁物だよ! こうゆう時に非王道はやらかすのがセオリーなんだ」 「うん?」 クレープを咥えたまま、きょとんとしてると美村が「聞いてあげて」と、こしょっと言ってきた。 あの委員長の宣戦布告事件から園田のテンションは高い。 「裏で暴走族と繋がっていたり、理事長の甥っ子だったりするんだよ。それで、悪巧みをするんだけど、寸でのところで助けが入るんだ。きっとピンチに駆けつけるのは御影委員長だね。ああ、でも高槻先輩推しなんだけど」 「?? 園田。なんの話だ?」 「桜ノ宮くんだよ」 園田が当たり前でしょ、といった風に俺の顔を見た。 「いや、桜ノ宮がなんかしたって証拠も何もないし。ただ、生徒会連中と仲良しで、ちょびっとKYってだけなんだろ?」 「甘い。有栖川くんは甘いよ。きっと黒幕は桜ノ宮くんだ。これで引き下がるとは思えないよ」 「園ちゃん。BL小説の読み過ぎだよぉ」 「だって、ここはまるでBL学園じゃないか。イベント盛りだくさんで、僕は滾っているんだよ」 ダメだ。園田が何を熱弁しているのか、ついていけない。 美村はすごいよな。腐男子って訳じゃないのに。 ………桜ノ宮ねぇ。 俺はまだ桜ノ宮とちゃんと話したことがない。委員長には勝手な事をするなって言われてるけど。一度、話してみたいなぁ。 その時、俺はピーンと閃いたのだった。   放課後、俺は美村達と一緒に寮に戻った。 電話で高槻先輩に「美村たちと帰ります」と報告して。 寮に着いたら「戻りました~」と、また報告した。 平野は最近、委員長のファンのガチムチ集団と帰ってるらしい。意外と話しやすくて楽しい連中みたいだ。 俺は着替えて、ちゃちゃっと晩飯を作った。それをタッパーに入れて、平野の部屋に向かった。 「よお。平野」 「あ、有栖川くん」 チャイムを鳴らしたら、平野がドアを開けて中に入れてくれた。 「桜ノ宮。おじゃまするね」 リビングのソファには桜ノ宮が座っていた。

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