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桜ノ宮とももちゃんと山田2
今は生徒会もピリピリしてるから、桜ノ宮も部屋にいることが多いって平野から聞いていた。
桜ノ宮に会うために、イチかバチか平野の部屋に突撃してみたんだ。
平野に「晩御飯のカレー作りすぎたから持っていくんでよろしく」とだけメールして、平野からの返事を読まずにピンポンした。
平野に晩御飯のおすそ分けに行って、たまたま桜ノ宮と鉢合わせただけだから、委員長との約束を破ったわけじゃないしね。
「君は有栖川君だね」
「有栖川千尋だよ。会うのは二回目だね」
桜ノ宮は立ち上がって、俺に微笑みかけた。
「うん。ちゃんと話すのは初めてだけど」
「平野とは友達なんだよ。よろしくね」
俺は手に持ったタッパーを桜ノ宮に見せた。
「晩飯のおすそ分け。カレーだけど。桜ノ宮はご飯まだ? よかったら一緒に食べない?」
「まだだよ。有栖川くんが作ったの?」
「うん。まぁ、男のテキトー料理だけど」
「いいね。お言葉に甘えようかな」
桜ノ宮は人当たりがいい感じだ。
だけど、なんか引っかかる。
………なんだろう。この感じ。
「あ、じゃあ。お皿並べるね。お米はあるから」
少し戸惑っていた平野だったが、俺達の会話を聞いて、炊飯器をチェックしにいった。
「有栖川くんて家庭的なんだね」
桜ノ宮がフレンドリーに笑う。
その顔に俺はピーンときた。
あっ!!
ももちゃんだ!!
山田太郎時代の懐かしい記憶が蘇った。
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