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千尋と病院2

   『姫か!?』 俺がかけたのは委員長が持ってる風紀のスマホの番号だ。分かりやすい番号だったから覚えてたんだよね。 「うん」 『お前、大丈夫なのか!? 面会謝絶だって………』 「あ。それ、過保護の延長みたいなもんだから」 『お前なぁ』 「明日。父親が帰ってくるんだけど、ヤバいんだ」 『何がだ?』 「前、GPSの足枷つけられて軟禁されたことあるんだよ。すげぇ過保護だから。俺、もう学校戻れないかも。今だってスマホもお金も取り上げられてるんだ」 『おい。落ち着け』 「今度こそ海外連れていかれちゃうかも。俺、行きたくな………」 後ろからにゅっと手が伸びてきた手が、ガチャンと通話を切った。 「えっ」 振り返ると……… 「一日早く帰国できたよ」 「あ、有栖川父!」 唖然とする俺を有栖川父はぎゅっと抱きしめた。 「会いたかった。千尋」 俺の頭にちゅっとキスをして 「危ない目にあったんだね。話を聞いて生きた心地がしなかった。もう離さないからね。大丈夫、パパと一緒に帰ろう」 甘ったるい声で、そう囁いた。

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