264 / 306
千尋と病院2
『姫か!?』
俺がかけたのは委員長が持ってる風紀のスマホの番号だ。分かりやすい番号だったから覚えてたんだよね。
「うん」
『お前、大丈夫なのか!? 面会謝絶だって………』
「あ。それ、過保護の延長みたいなもんだから」
『お前なぁ』
「明日。父親が帰ってくるんだけど、ヤバいんだ」
『何がだ?』
「前、GPSの足枷つけられて軟禁されたことあるんだよ。すげぇ過保護だから。俺、もう学校戻れないかも。今だってスマホもお金も取り上げられてるんだ」
『おい。落ち着け』
「今度こそ海外連れていかれちゃうかも。俺、行きたくな………」
後ろからにゅっと手が伸びてきた手が、ガチャンと通話を切った。
「えっ」
振り返ると………
「一日早く帰国できたよ」
「あ、有栖川父!」
唖然とする俺を有栖川父はぎゅっと抱きしめた。
「会いたかった。千尋」
俺の頭にちゅっとキスをして
「危ない目にあったんだね。話を聞いて生きた心地がしなかった。もう離さないからね。大丈夫、パパと一緒に帰ろう」
甘ったるい声で、そう囁いた。
ともだちにシェアしよう!