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園田と鳴海奈留美2

  俺と高槻は美村達と約束した場所に向かった。 「おい。なんでお前までいるんだ?」 するとそこには生徒会書記の南方もいた。 「あ、有栖川くんの事、心配して僕たちのクラスにいらっしゃったんです。それで、今から有栖川くんの家に行くって話したら、どうしても一緒に行きたいっておっしゃられて………僕もこの展開は非常に萌えるのでいいかなと………もが」 「園ちゃん!」 園田は何か言いかけて美村に口を塞がれた。 「すみません。でも、千尋が心配なんです」 南方はまっすぐに俺の目を見て言った。コミュ障だった王子様が随分変わったな。 高槻は少し苦い顔をしている。 「まぁいいだろう。行くぞ」 美村たちは南方の車で来たらしい。 そのまま二台に分かれて、有栖川の家に向かった。 有栖川邸に着いたが、すぐに入れてもらえるかどうか分からない。一番角が立たないだろうと、園田がインターフォン越しに告げた。 「望応学園の園田といいます。千尋君の友達で心配できました。会えますか?」 『どうぞ。お入りください』 硬質な声がしてゲートが開いた。車がゆっくりと動き出し、有栖川邸へと入っていった。 そして、神経質な顔つきの執事に応接室に通された。 「園ちゃん、落ち着いて」 きょろきょろしている園田を美村が注意している。 南方は張りつめたような表情をしているし、高槻も鎮痛な面持ちだ。 俺はというと、少し苛立っていた。 案外、園田の存在がガス抜きになって良かったかもな、などと考えていたらメイドが紅茶を運んできた。 そして執事の男が戻ってきた。 「せっかくいらしていただいたのに申し訳ありません。千尋様はこのお屋敷にはいらっしゃいません」 「今、どこに?」 「ご当主の雅信様とご一緒に海外に行かれました」 「なっ!?」 「心配してくださるご学友がいらっしゃった事は、千尋様にお伝えさせていただきます」 執事は感情の無い声音で、せっかくだからお茶して帰れみたいな事を馬鹿丁寧に言って応接室を出て行った。だが本音はさっさと出て行け、だ。 学園での事をどんな風に聞いているかは知らないが、心の奥底に敵意が感じられる。学園で襲われた事で姫の父親は相当お怒りなのだろう。 「か、海外だなんて」 「もうアリスちゃんに会えないってこと?」 「そんな………千尋………」 それぞれ暗い表情になって俯いていた。 どうにも急すぎる。 あの電話の感じだと、父親が無理矢理に連れて行ったんだろう。 だが、現状ではどうすることもできない。 「………くそっ」 八方塞がりだ。 俺は苛立ちを隠せずに低く呟いた。

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