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有栖川雅信と愛しい子1

【side 千尋】 日中はプールで遊んで、昼寝して、気がつきゃ夕飯だ。 「……ピリピリする」 一応、日焼け止め塗ってたんだけどなぁ。ちょっと日に焼けちゃったみたい。 肌が少し火照って、ヒリヒリした。なんだか夏休みの小学生みたいだ。 「なにやってんだろ。俺」 夕食は有栖川父と室内で食べた。南国の魚料理で美味しかった。 デザートはタピオカ入りのココナッツミルクだ。これも美味しい。 「ちーちゃん。少し赤くなっているね」 有栖川父が俺の頬をそっと撫でた。 「ああ。プールで泳いだから、ちょっと焼けちゃったみたい」 泳いだというか、溺れかけて、マットレスでプカプカしてただけだけど。 「伏見。気をつけて見ていろ。千尋の肌が傷んでしまうだろう」 「申し訳ありません」 有栖川父が低い声で冷たく言い放ったので、ドキッとした。 「伏見さんは悪くない! 日焼け止めもちゃんと塗ってたし。南国だから陽射しがキツイんだよ」 俺は慌てて言った。有栖川父は溜め息をついて俺を見つめた。 「伏見を庇う必要はない。彼の仕事だ。優しい子だね。千尋」 「そうじゃなくて……あ、日本に帰れば、日焼けの心配もないんじゃない?」 試しにそう言ってみた。 「ちーちゃん。明日はプール禁止だよ」 ダメか。 「……はぁい」 俺はため息を吐いた。 夕食後、少しダラダラしてから風呂に入った。有栖川父も当然のようについてくる。 もう一緒に風呂入るのが当たり前になっちゃったみたい。 肌がヒリヒリするから、今日はシャワーだけにしとこう。温めのお湯を浴びている俺の背後に有栖川父だ。 「お風呂浸かってきたら?」 「洗ってあげるよ」 俺は盛大にため息を吐いた。昼間仕事してた分、俺にべったりだ。 ウザいけど我慢だ。 優しく髪を洗われて、不本意だが気持ちいい。美容院のシャンプーの時も気持ちよくって寝ちゃうんだよね。 足がビクッてなって目が覚めて、美容師さんに笑われるんだ。 「ちーちゃん。痛くない?」 有栖川父はスポンジを使わずに、手のひらにボディソープを取り、俺の体を洗い始めた。 「平気」 なんか、有栖川父の過保護に慣れてきちゃったのかなぁ。 「あっ」 有栖川父の手がお尻や下半身に触れた時、思わずビクッとした。慌てて有栖川父の手を掴む。 「いいから! そこは自分で洗うから」 有栖川父はクスクス笑って言った。 「照れなくていい。小さい時はパパが洗ってあげてたんだよ」 「いつの話だよ!? 赤ちゃんの頃だろ? あ! やめろってば!」 シャワーブースの壁に押し付けられるようにして、逃げ場を失った体を洗われる。有栖川父の手が股間に触れた。

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