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園田と鳴海と女王様1[side 園田]

【side 園田】 翌朝、僕は美村くんと一緒に書記様の車に乗った。御影委員長と高槻先輩は一足先に出発していた。 不謹慎だけど、わくわくしてる。 「園ちゃん。顔、顔」 僕のにやけ顔を美村くんがそっと注意した。いけない。顔ゆるんじゃった。 書記様は有栖川くんを心配して憂い顔だ。そんな表情も素敵だった。鳴海さんが喜びそう。 御影委員長の豪邸のゲート前に着いたとき、一台のバイクが目の前に停まった。カワサキのニンジャ250Rだ。 なぜ分かるかというと、暴走族もののBLにハマったことがあって……じゃなくて、二人乗りでバイクの後ろに乗ってたのは鳴海さんだ。バイクを降りて、メットを外した。 僕は窓を開けて「鳴海さん!?」と呼んだ。 「園田様。おはようございます」 鳴海さんがこちらを向いてぺこりとお辞儀をした。鳴海さんは黒いTシャツと黒のスキニー、シルバーのラインの入った黒いジャケット姿でメイド服の時とイメージが違った。 「それが美少年?」 バイクに跨ったまま、もう一人の女の人が聞いてきた。 「いえ。美少年の千尋様は南の島です」 「いえ」って……。確かに僕は有栖川くんほどの美形じゃないけど、そこそこ可愛いと思うんだけどなぁ。 「あんたねぇ。その子も可愛い顔してるじゃない」 その女の人は笑って、メットを脱いだ。 肩までの髪がファサッと流れた。なんかの映画みたいだ。キリッとした目力のある美人で、面白そうに笑って僕らを見ていた。 「わぁ。チャーリーズエンジェルみたい」 思わず言ったら、ふふっと笑われた。大人の女性って感じだ。 「これから南の島に行くんでしょ。戻ったら連絡してよね。面白い話待ってるわ」 「はい。送ってくださり、ありがとうございます」 鳴海さんはメットを女の人に返した。 その女の人はバイクで颯爽と去って行った。鳴海さんはこっちに歩いてきた。 「あ。鳴海さんも乗って」 「ありがとうございます」 車に乗り込んで「南方様、美村様。おはようございます」と挨拶をした。 「今のおねぇさん誰?」と、美村くんが聞いた。僕も気になってた。 「女王様です」 「「は?」」 「私、昔は鬼畜責め系が好きでして。緊縛ショーを観に行った時のメインのショーを担当されたのが彼女でした。とても素晴らしいショーでしたので、熱く感想を語ったところ気に入られまして。それから友達になりました」 「な、鳴海さん!」 「鬼畜? 緊縛?」 と、書記様が不思議そうに呟いた。鳴海さんがハッとした顔をして 「南方様! 今のは何でもございません。メイドの戯言です。お忘れください」 「そう……」 書記様は不思議そうにしていたが、そんなことよりも有栖川くんの方が気がかりなようで、それ以上の追求はしなかった。 ほっとして僕は鳴海さんとこしょこしょ話をした。 「鳴海さん。気をつけてよね」 「申し訳ありません。私、今日はテンションが上がっておりまして、つい本性が駄々漏れになっておりました。王子様の前で鬼畜など……以後、気を付けます」 鳴海さんは一ミリもテンションの上がっていないような顔で言った。 そんな僕らを美村くんが怪訝な眼差しで見ていた。

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