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園田と鳴海と女王様3[side 園田]
僕らは委員長のクルーザーに乗って南の島に向かうことになった。船着き場まで車で移動するため、委員長のうちを出る前に美村くんに引き止められた。
「園ちゃん。ちょっと」
「なに?」
「鳴海さんとどうゆう関係?」
「え?」
……えっと。鳴海さんが腐女子ってことは秘密なんだよね。
「なんでもないよ」
「じゃあ、なんであの人、こっちを覗き見してんのぉ?」
美村くんがくいっと顎を上げて言ったので振り向くと、
「な、鳴海さん!」
曲がり角から、半分だけ顔を出して鳴海さんがこっちを伺っていた。
「なにしてるの?」
「いえ、私の事を話されているようでしたので」
鳴海さんがこちらにやってきた。
美村くんは訝しげに鳴海さんを見てる。
「ふたりでコソコソしてるけど、なにしてんのかなぁって思って」
美村くんが少しトゲトゲしい感じで言った。彼がこんな言い方するのは珍しくて、僕はちょっとびっくりした。
「こそこそなんてしてないよ」
「そぉ?」
「……チャラ男×腐男子」
「「えっ?」」
そんな美村くんを見て鳴海さんがぼそっと言った。
「無自覚チャラ男の嫉妬と天然腐男子なのですね。なるほど」
「なっ、鳴海さん! 違うからね。僕は無害な妄想専門で自分がどうこう無いからね!」
「園田様も可愛い系だと思いますよ。美少年ぶりでは千尋様には敵いませんが」
分かってるけど、ちょっとムカつく。
「わかってるよ!」
「ちょっと待って」
あ、美村くんがいたんだった。
「あんたら、お仲間?」
「………」
鳴海さんは無表情だけど「しまった!」って思ってるんだろうなって分かった。
「鳴海さん。美村くんは大丈夫だよ。理解者だよ」
「………」
鳴海さんは大きくため息を吐いた。
「私としたことが、今回のイベントでテンション上がりすぎたようで、うっかり失言が少々増えているようです」
全くテンションの上がっていない顔で言った。
「いや。あんたテンション上がってるようには見えないし、うっかりって言う割には多すぎるよ、失言。そっかぁ。鳴海さんも腐女子かぁ」
「美村くん。内緒にしといてね」
僕は美村くんにお願いした。
「いいけどぉ」
「……腐男子に優しいチャラ男」
「鳴海さんは黙って!」
「私としたことが……」
ハッとして鳴海さんが手で口元を隠したけど、相変わらず無表情だった。美村くんはちょっと複雑な表情で見てたけど、
「ま、いいや。行こう。園ちゃん」
そう言って、僕をつついた。
「うん。あの、美村くん?」
「園ちゃんのダダ漏れ心の声をツッコムのって、俺の役割じゃない? 鳴海さんがツッこんでたから変だなぁって思ってただけ」
「そうなんだ。てゆうか、僕そんなに声もれてる?」
「ダダ漏れだよぉ」
美村くんに笑われて、ちょっとだけショックだ。
そんなに漏れてるの!? 普通にしてるつもりなんだけど。
「やっぱりチャラ男×腐男子。さすが千尋様のご学友。素晴らしい」
僕らの後ろで鳴海さんがブツブツ言ってたけど、無視しちゃった。
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