294 / 306

園田と鳴海と女王様3[side 園田]

  僕らは委員長のクルーザーに乗って南の島に向かうことになった。船着き場まで車で移動するため、委員長のうちを出る前に美村くんに引き止められた。 「園ちゃん。ちょっと」 「なに?」 「鳴海さんとどうゆう関係?」 「え?」 ……えっと。鳴海さんが腐女子ってことは秘密なんだよね。 「なんでもないよ」 「じゃあ、なんであの人、こっちを覗き見してんのぉ?」 美村くんがくいっと顎を上げて言ったので振り向くと、 「な、鳴海さん!」 曲がり角から、半分だけ顔を出して鳴海さんがこっちを伺っていた。 「なにしてるの?」 「いえ、私の事を話されているようでしたので」 鳴海さんがこちらにやってきた。 美村くんは訝しげに鳴海さんを見てる。 「ふたりでコソコソしてるけど、なにしてんのかなぁって思って」 美村くんが少しトゲトゲしい感じで言った。彼がこんな言い方するのは珍しくて、僕はちょっとびっくりした。 「こそこそなんてしてないよ」 「そぉ?」 「……チャラ男×腐男子」 「「えっ?」」 そんな美村くんを見て鳴海さんがぼそっと言った。 「無自覚チャラ男の嫉妬と天然腐男子なのですね。なるほど」 「なっ、鳴海さん! 違うからね。僕は無害な妄想専門で自分がどうこう無いからね!」 「園田様も可愛い系だと思いますよ。美少年ぶりでは千尋様には敵いませんが」 分かってるけど、ちょっとムカつく。 「わかってるよ!」 「ちょっと待って」 あ、美村くんがいたんだった。 「あんたら、お仲間?」 「………」 鳴海さんは無表情だけど「しまった!」って思ってるんだろうなって分かった。 「鳴海さん。美村くんは大丈夫だよ。理解者だよ」 「………」 鳴海さんは大きくため息を吐いた。 「私としたことが、今回のイベントでテンション上がりすぎたようで、うっかり失言が少々増えているようです」 全くテンションの上がっていない顔で言った。 「いや。あんたテンション上がってるようには見えないし、うっかりって言う割には多すぎるよ、失言。そっかぁ。鳴海さんも腐女子かぁ」 「美村くん。内緒にしといてね」 僕は美村くんにお願いした。 「いいけどぉ」 「……腐男子に優しいチャラ男」 「鳴海さんは黙って!」 「私としたことが……」 ハッとして鳴海さんが手で口元を隠したけど、相変わらず無表情だった。美村くんはちょっと複雑な表情で見てたけど、 「ま、いいや。行こう。園ちゃん」 そう言って、僕をつついた。 「うん。あの、美村くん?」 「園ちゃんのダダ漏れ心の声をツッコムのって、俺の役割じゃない? 鳴海さんがツッこんでたから変だなぁって思ってただけ」 「そうなんだ。てゆうか、僕そんなに声もれてる?」 「ダダ漏れだよぉ」 美村くんに笑われて、ちょっとだけショックだ。 そんなに漏れてるの!? 普通にしてるつもりなんだけど。 「やっぱりチャラ男×腐男子。さすが千尋様のご学友。素晴らしい」 僕らの後ろで鳴海さんがブツブツ言ってたけど、無視しちゃった。

ともだちにシェアしよう!