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鳴海とマル秘作戦4[side 鳴海]
穂高さんと護衛の者が二人。
「雅信様の秘書の穂高です。千尋様のご学友の方ですね。こんな遠い場所まで会いに来てくださり、ありがとうございます。千尋様も喜ばれるでしょう」
そこそこ美中年の穂高さんを見て、園田様は慌てたように立ち上がりましたが、王子様は落ち着いています。
「急に申し訳ありません。どうしても千尋に会いたくて……」
「ええ。本当に急ですね。一度、ご連絡をいただければよかったです。千尋様はこちらにはいらっしゃいません」
「えっ? どうゆうこと?」
穂高さんが苦笑をして続けました。ですが、その目は笑っていません。
「定期健診で近隣の島の病院に行っているんです。しばらく病院に検査入院されます」
「千尋は大丈夫なんですか!?」
おぅふ。王子様ピュア(二回目)。
穂高さんの分かりやすい嘘なんて信じちゃって、可愛いったらありゃしない。
「ただの検査ですから大丈夫です。申し訳ありませんが、このままお帰りいただくことになります。失礼ですが、どうやってこの島に?」
「それは……」
「穂高さん。何故嘘を?」
「鳴海」
「私の使用人ネットワークを舐めないでください。千尋様の為にこの島には医者が居ます。なかなかの名医ですよね」
「……鳴海。君には後で話がある。お二人にはお帰りいただきます」
「千尋様には伝えていただけないんですか? 会わせるつもりは無いんですか? 千尋様はなんと言っているのです? 千尋様は日本に帰りたがっているのでしょう?」
矢継ぎ早に聞けば、穂高さんが眉を顰めて
「鳴海。一緒に来なさい。聞きたい事が山ほどある」
「お断りします」(キリッ)
「な!?」
すっくと立ち上がり、ツカツカとドアの方へ向かう。
「さ、園田様。南方様。千尋様の部屋に行きましょう」
「待ちなさい!」
護衛の男が私達の前に立ちふさがったので……
────バチバチッッ!!
「ぐぁッ!?」
「うッ!!」
バッグから素早く出したスタンガン二丁、二刀流の構えで一撃で仕留めました。
「なっ! 鳴海さん!?」
「女王様に貸していただいたスタンガンです」
ちなみに改造スタンガンです。効果ばっちりでした。
不意を突いたのでうまくいきましたが、穂高さんには通用しないでしょうね。
「鳴海。こんな真似をして、ただで済むと思うなよ」
蹲った護衛の男をちらりと見て、穂高さんが低い声で言いました。おっと、怒らせたようです。当たり前か。
空気が重くなったのを感じて、園田様が怯えように一歩さがりました。
王子様は蹲った護衛の側にしゃがんで無事を確認中。やだ。紳士。
「大丈夫ですよ。少し大人しくしていただくだけです」
王子様はほっとして立ち上がった。
「私は穂高さんとお話があります。お二人は千尋様の元へ先に行ってください」
「三人ともこの部屋から出る事は許しません」
穂高さんは強い。でも残念。
私、貴方の弱点は知っています。
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