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鳴海とマル秘作戦5[side 鳴海]
穂高さんが一歩近付いてきたので……
「!?」
「鳴海さん!?」
「きみ……っ!?」
私は穂高さんに向かって、ガバッとTシャツを胸の上まで捲りました。
「ご安心を。見せブラです」
「な、鳴海さんっ! 見せブラって……そうゆうことじゃなくて、ちょっと!」
園田様はワタワタ。王子様は呆然。穂高さんは慌てて両手で目を覆った。
「な、鳴海!! 隠しなさい!!」
王子様の前ではしたないのですが、これしか手段がないもので。
「穂高さんは知人女性の下着姿や裸が苦手なのです。今の内に千尋様を探してください」
「! 行かせるか!!」
「おっと。穂高さん、私の下着姿を見るおつもりですか?」
「見るつもりなんてない! は、早く隠しなさい!」
穂高さんはまた両手で目を隠しました。雅信様の危機的状況など、穂高さんが本当の本当に本気の時にはこの手は通用しないでしょうが、今は高校生相手で本気ではないのでしょう。だからこの手が有効でした。
「お早く」
「でも」
「園田様。派手に千尋様を呼んで、探してください」
「分かった! 行きましょう。書記様」
戸惑った表情の王子様の腕を引っ張って、園田様達は部屋を出て行く。
「待ちなさ……っ!」
後を追おうとした穂高さんの前に立ちふさがる。
「行かせませんよ」
「だから! 早く隠しなさい! 女性がはしたない真似をするんじゃない!!」
穂高さんは私に背を向けて叫びました。これでよく護衛頭が務まりますね。
園田様達が派手に屋敷内を駆け回って下さっている間に、御影様達は千尋様の部屋に辿り着けるでしょうか……。
「な、鳴海! Tシャツを下ろしなさい! 嫁入り前の娘が、そんな真似はよしなさい! 鳴海! 聞いているのか!?」
穂高さんのお母さんのようなセリフが応接室に響いたのでした。
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