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夜の街
嵐のような熱が過ぎ去ってから、志狼は簡単に情事の後始末をした。
鉄平の体を隠すように志狼の上着に包んだ。鉄平を抱き上げて、路地裏から近場のホテルに入った。
部屋に入り、鉄平をベッドに座らせておいて、志狼はすぐに風呂の準備をした。
鉄平がまだぼんやりしていると、ウィッグを取り、汚れたセーラー服を脱がされて、温かい風呂に入れられた。
志狼は店が閉まる前にと、鉄平の着替えを買いにホテルを出て行った。
鉄平はひとりきりになり、温かい湯船に浸かって、ほーっと大きく息を吐いた。
激しい快楽が過ぎさって冷静になった頭に、いろいろなことが思い出される。
あの路地裏のキレイな顔の男娼たちの志狼を見つめる熱い視線。
あの厳つい顔の男は、「志狼相手なら金はいらないという男娼が多い」と言っていた。
志狼が相手なら……。
───初めて会ったとき、しろうは俺の事、男娼だと思ってた。
今夜はあの男娼達と同じように路地裏で抱かれた。
───そんなに……そんなに悪いこと、したのかなぁ……?
バイト先でコスプレすることを黙っていただけだ。
最初はニヤニヤ笑って、鉄平のコスプレ姿を見ていたのに。
志狼が分からない。
鉄平を拾ったのも気まぐれだろう。志狼はセックスの相手に困ることはないのだ。
───ただ単に……俺……男娼の代わりなのかな……。
考えたくないのに、どんどんネガティヴな方へと思考がいってしまう。
自分には華やかさも、他人より秀でたところもない。
どうして志狼は自分と一緒に暮らしているんだろう……。
頭の中がぐちゃぐちゃで分からなくなってしまった。
「……」
鉄平はパチャンと湯船に顔を沈めた。
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