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奏「さぁ、あがって」
鈴「お、おじゃまします……」
朱「おー!!和馬!元気だったかー?」
和「あーー!!!」
そういい、朱雨が駆け寄ったのは
奏多さんと冬馬さんの子供、和馬[かずま]くんだ
まだ生まれたばかりでほんとに可愛らしい
ちっちゃい手をいっぱいに伸ばし、バンザイしている
なにこの可愛い生き物!
朱雨と2人でじーっと見つめていると、奏多さんに肩を叩かれる
奏「鈴?だっけか、ちょっといいか?」
鈴「あ、は、はい!」
そういい、彼について行くと、そこはキッチンだった
なぜ……キッチン?と不思議に思っていると
奏「わりぃんだけど……
料理得意なんだろ?
作るの手伝ってくれねぇか?」
と、申し訳なさそうに言われた
なんだ……普通にいい人じゃないか………………
なんて、失礼なことを思った………
鈴「俺でよければ、是非」
奏「あー……よかった、ひとりじゃ和馬が泣いた時、手を外せなくてよ
そん時は……マジ頼む」
鈴「はい、了解です!」
そういって、奏多さんと2人で料理を始めた
しばらく作っていると彼のことが色々とわかった
彼はαであること、お父さんである奏多さんにだっこされないと和馬くんは泣き止まないこと、そして………………………………
鈴「………………………………」
奏「な、なんだよ………………まずいのか??」
鈴「んな訳ありません!!!!
なんですかこれ!!!美味すぎます!!!!」
料理がとてつもなく上手だ……
今味見をしているのは、パエリアだがほんっとに美味しい………………魚介の匂いがするが、魚介類が嫌いな人でも難なく食べられるぐらいおいしい、なんでこんなに美味しいんだ?………………
不思議に思って、パエリアとにらめっこをしていると奏多さんに優しく頭をチョップされる
鈴「……ん??」
奏「さーら!持ってきてってば
お前…………耳遠いの??
ってか……そんなに見つめなくても……逃げねぇぞ?」
鈴「あ、はい!持ってきます!
だって……パエリア……すっごく美味しそうだから……」
そういうときょとんとした顔をする奏多さん
しばらくしたあとクシャッとした顔で笑い、嬉しそうに、ありがとう、とお礼をしてくれた
奏「あとで、レシピやる
なんだよ、お前いいやつなんだな」
鈴「ありがとうございます!!
今頃わかったんですかー?」
そう言い、クスクスと笑いながら、楽しく料理を続けられた
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