13 / 62
〃
部屋にきゃっきゃと楽しそうな声が響く
和馬くんがあぅあぅ……といいながら両手を広げ、母に抱っこをねだっている
それを見ながら冬馬さんが和馬くんをだっこし、朱雨が和馬くんのほっぺをつんつんし、遊んでいた
…………かわいいな……
そう思って見つめていると
ピンポーンとインターホンがなった
玄関に向かおうとする冬馬さんを制し、奏多さんがでる
?『久しぶり〜奏多』
奏『おう、久しぶり、莉玖
わるいな……磑』
磑『んにゃ、大丈夫だぜ?』
男の人の声が聞こえる
どうしたんだろう…………
不思議に思い、リビングの扉をじっと見つめ、話し声の主が現れるのを待つ
トントンと複数の足音が聞こえ、ガチャと空いた扉からみえたのは
栗色のマッシュルームヘアの可愛い男の子と
真っ黒のショートヘアのイケメンだった
冬「あ!莉玖!磑!
ありがとうね〜!」
莉「いいよ〜
久しぶりにお出かけできるの楽しい〜」
磑「遅れて悪かったな
お前らで楽しんでこい
俺と奏多を気にすることはねぇからな?
羽伸ばしてこい」
そう言ったふたりをじっと見つめていると
ぱっと男の子と目が合った
すると、目をキラキラとさせながら俺の方へダッシュでよってきた
莉「こんにちは!俺、莉玖[りく]って言うんだ
よろしくね!!!かわいいねぇ〜」
ニコニコと話しかけてくれる彼に、緊張感がほどける
可愛い可愛いと褒められ、柄にもなく照れてしまう……
鈴「り、莉玖さんのほうがかわいいですよ?」
と言えばキャー!と悲鳴をあげ、後ろにいるイケメンに語る
莉「ねぇ!磑[がい]!
この子が俺のこと可愛いって!」
磑「よかったな
だから、俺がいつも言ってるだろ?
可愛いって」
それを聞くとまた莉玖くんは嬉しそうに笑い、ちょっと行ってくるね、と磑さんに言ったら、俺の手を取り、リビングの真ん中へ引っ張る
するとテーブルに今から行く予定のモールの地図を広げ、話し合っている朱雨達がいた
朱「俺ここの雑貨屋さん行きたい!」
冬「俺、ここの本屋に行きたいかな〜」
莉「えー!じゃあ俺ここ!ゲーセン!」
朱「鈴は??」
鈴「え?俺………………」
それぞれみんなが行きたいところ挙げていく中、俺に目が向けられる
ジーと地図とにらめっこをすると、あるひとつの店に目が止まった
鈴「俺……ここ行きたい…………」
朱「…………?……あー!なるほど!」
俺が行きたい理由を察したのか朱雨がニヤニヤと俺を見てくる…………
なんだよ…………いいじゃんか…………
俺が行きたいと行ったお店は、晴也がよく通っている香水とアクセサリーのお店だった
俺はお揃いのアクセサリーと首輪は貰ったが、俺から送ったことは無い…………
だから、俺が買ったのを身につけてほしいな〜と思っている
それに晴也は香水を付けないから、香水ではなく部屋のフレグランスを買おうと思った
彼にこっそりと送りたいな……と思った
喜んでくれるかもと、密かに妄想し、緩んでしまう頬を両手で抑える
待っててね、晴也………………
ともだちにシェアしよう!