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お前は俺のもの
Side晴也
鈴「薫〜……もっと…………」
薫「ん?これ好き?」
鈴「んっ…………おいしい…………」
薫「…………そう、よかった」
その声を聞きながらイライラが止まらない
学校のある教室に楽しそうに響くその声に
腹が立って、キッと罪のない薫を睨みつける
俺に睨まれた薫はビクビクとしながら鈴に縋るようにお願いし始める
薫「ところでだけど……そのエッチな声やめて
俺が殺される……」
鈴「え!?してない!」
薫「してるから!自覚なしかよ!
お前食事してるだけでそれなの!?
やばくね!?」
鈴「や、やばくないもん…………」
そう、彼らは食事をしているだけ……
薫は膝の上に鈴を乗せて、餌付けをしている
前までは平気だったその食事風景も
結婚した後、何故かきになり、イライラするようになった
遥「はーるーやー、怖いから…………」
晴「…………っ、はぁ…………悪いな…………」
遥「まぁ…………なんていうか……どんまい?」
晴「……はるか……このやろっ!」
遥「うぐっ!苦しい苦しい!」
にやにやしながら俺を憐れむ遥に無性に腹が立ち、彼を後ろから抱きしめ首を絞める
ギブ、ギブ!と悲鳴をあげたところで腕を緩めて、そのまま壁によさりかかる
しばらくしてもまだ俺の腕の中に残っている遥を不思議に思う
いつもならここで出て言って俺のイライラの原因となった薫を咎めたり、薫を引きずって自分の腕の中に抱きしめるなりするのに…………
晴「……遥?……薫のとこ行かないのか?」
遥「…………君ってさ、体温高いよね」
晴「…………は?」
ぼそりと小さく呟いたその声の意図がわからず混乱する
じっと見つめると、ニヤッとした目と目が合う
あーあ、嫌な予感………………
遥「眠くなってきた、ベットになって」
晴「は?ふざけんな!
おい!はるか…………って聞いてねぇし……」
俺の腕をギュッと掴みそのまますぅすぅと寝息を立て始めた遥に、軽く殺意が芽生える
こいつ…………絶対わざとやってる…………
床に放りたくなったが
遥は多分それをすると怒るだろう
はぁ……とため息をつき、そうそうに諦める
そのまま柔らかい遥の体を抱きしめ、俺も寝つこうとする
しばらくして、ウトウトと船を漕ぎ始めたその時、ブワッと怒りのフェロモンの匂いがした
………………この匂い…………鈴?
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