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第39話
Side鈴
鈴「お世話になりました……」
看「元気になったね〜よかったよかった
じゃあ、元気でね〜」
鈴「はい、さようなら」
看「はい、さようなら」
お世話になった看護師さんにお礼を伝え、外で待っている晴也の元にむかう
病院を出てキョロキョロ周りを見渡すと、女の人に捕まっている晴也を見つけた
女「あのぉ〜ここに行きたくてぇ〜」
晴「あっと…………ここにはそこを曲がって……」
女「えぇ〜どこかわかんないぃ
着いてきてくれませんか〜?」
晴也はニコニコと愛想笑いを貼り付けて説明をしている
けれど、女の子たちは説明なんか聞いていないようで
晴也の腕をグイグイ引っ張り、連れていこうとする
苦笑しながらどうしたもんかな〜と悩んでいる彼
…………………え?着いてくの?
…………………………………いやだ…………
1歩、2歩と歩き出した彼
俺は焦りを感じ、自然と体が動きだした
鈴「だめぇえええぇ!!」
晴「ぅおっ……鈴…………おかえり」
鈴「晴也は俺のだもん!!!!」
俺をにこにこ顔で迎えてくれた彼を無視して
女達にそう叫ぶ
女達はギロッと俺を睨むと、晴也に縋るように腕を絡めながら、聞いた
女「ねぇ…………この子弟君?」
晴「ううん、俺の奥さん
じゃあね?帰って奥さん可愛がらなきゃ」
キパッと笑顔で女の言葉を否定すると
指輪がはまっている左手をフリフリと振りながら
じゃあね〜と女に別れの挨拶をした
女「なによぉ…………あんなチビ、どこも可愛くないじゃない………………」
ぼそっと呟かれたセリフに、ツキンと胸が痛む
…………確かに…俺は晴也とは釣り合わないけど………………
と、少しショックを受けていると、晴也がクルッと後ろを向いた
晴「あのさ……………………」
あぁ、どうしよう…………
晴也がキレてしまった………………
晴「お前らみたいな女より
鈴の方がよっっっぽど美人だから
調子にのんなよ、ばーか」
いくよ、と優しく手を引いてくれる
その後ろではキィーー!と見たことないほど醜い顔で女が晴也を睨みつけていた
うわぁ……怖い………………けれど……晴也もそこまで言わなくてもいいのに………………
………………今のセリフあの子達は傷ついたはず…………
……他人が傷ついている……けれど俺は………晴也が庇ってくれたことが嬉しくて嬉しくて、仕方なかった
鈴「晴也………………」
晴「ん?なんだ?」
鈴「ありがと………………」
晴「……うん………………ごめんな?」
鈴「ん?何が?」
晴「あんなこと女の人に言ったの
鈴、よく思わなかったろ?」
鈴「うん、あれは酷い
けど、嬉しかったからいいよ?」
晴「あぁ、悪かった
嬉しかったのか?くくっ、ならいっか」
2人で顔を合わせてふふっと笑いあった
改めて…………彼は、いつでも俺中心に考えてくれているんだな……と思った
と、同時にほかの人に悪口を言われないように男前になって見返してやろう、とも密かに心に誓う俺だった………………
後日、急に腹筋を始めた俺を不思議そうに晴也が眺めていた……………
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