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第40話

Side鈴 退院から数日がたった あれから俺と晴也は引越しでバタバタと忙しい毎日を送った なかなか引越しが終わらず、もうとっくに晴也の支えがなくても歩ける状態まで回復していたのに、学校に通えない日々が続いていた…………が、しかし! 鈴「………………………よ、よし…………」 晴「だ、大丈夫か?鈴」 (むりむりむりむり!全然大丈夫じゃないっ!) 今2週間ぶりに来た学校のクラス前にいる………… 久しぶりに見たクラスの扉はとても大きくて……まるで地獄の扉のように黒々しくおぞましいもののように見えた………… 晴「ほ、ほんとに大丈夫か?」 鈴「だ、だだだだ大丈夫だもん!」 晴「お、おう………………」 扉の前で、手を伸ばしたり、引っ込めたりして早十五分経とうとしていた……………… そんな俺を心配そうな目をしながらも、ずっと付き合ってくれる晴也に感謝しかない 焦れったく思ったのか、晴也が恐る恐る口を開く…… 晴「お、俺があけるか?」 鈴「い、いい!自分でやる…………」 心配してくれた彼に、強くそう言い放つと、勇気を振り絞って、そろ〜……と手を伸ばしドアの縁を掴んだその瞬間……………… ガララ…… 朱「りぃんちゃぁぁぁぁぁん!」 鈴「ぎゃぁああぁぁぁぁぁあぁ!」 扉が勢いよく開き、中から出てきた朱雨が飛びついてきた 俺は急に出てきた朱雨にびっくりし、心臓が止まりそうになった バックバックいってる心臓を片手で抑えながら朱雨をもう片方の手で支える 支えながら、朱雨によって呆気なく開いてしまった扉を見つめる 自分で開けたかったなぁ……という後悔と 開けてくれてよかった……という安心が複雑に混ざり、なんとも言えない気持ちになった 朱「あ、はるちゃん、おはよ」 晴「はよ、俺のことちゃん付けで呼ぶの、お前くらいだよな……ほんと………………」 朱「えへへー、それほどでも?」 晴「はぁ……なんで誇らしげなんだよ、馬鹿なの?」 朱「ちがう!アホなの!」 晴「違くねぇじゃん…………」 朱「バカとアホって、全然違うからね!?」 晴「かわんねぇよっ!」 朱「かわるしっ!」 わぁわぁと俺そっちのけで騒ぎ始めた彼らにあわあわしながら、どうしていいかわからなくなっていた 玲「鈴」 鈴「ぉわっ!?」 困ってしまった俺は、騒いでいる朱雨の顔をマジマジと見つめながらぼぉっとしていた すると突然玲に引っ張られ、彼の腕の中に収まる 俺が腕の中からいなくなっても大して気になってないのか、そのまま晴也と口論を続けた…… 玲「おかえり、鈴」 鈴「ただいま、れい…………」 俺の頬を優しく撫で、玲が俺の額に軽くキスを落とすと、耳元に囁くように声を落とす 玲「クラス、こわいか?」 鈴「怖いっていうか…………き、緊張?」 玲「くくっ………………そうかそうか…… お前が来た嬉しさから、みんな騒ぐと思うが……大丈夫か?」 鈴「…………うん、大丈夫……………… でも、少し怖いから、握っててもいい?」 ん、と俺が手を差し出すと 驚いた顔の玲が、じっと俺を見つめため息をつく 玲「そういうかわいいことは、晴也にいいなさい」 鈴「……かわっ!? ……だって、おしゃべり中…………」 そう俺が言うと、玲がちらりと彼らに目を向け、まだ口論続けている彼らを、あぁ……と冷たい目で見つめ、諦めたようにため息を漏らし、キュッと優しく手を握ってくれた 玲「クラスに入るまでだからな…………」 鈴「ありがと…………れい……」 玲「ふっ…………行くぞ?鈴」 鈴「う、うん…………」 俺は右手に玲の手の温もりを感じながら、恐る恐るクラスの中に足を踏み入れた………………

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