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晴也の苦悩
Side晴也
『…………新太さん……だめよ……』
『どうしてだ!僕はこんなにもあなたを愛しているのに!』
『あぁ……新太さん!』
『香織さん!』
あぁ…………ほんっっと滅びろ…………
テレビ画面を睨みつけながら、恋愛ドラマを眺めている
テレビの中では不倫をしている2人が、結ばれようとしているシーンだ
………はぁ、幸せそうでいいですねぇ………………
ってか不倫だろ?……別れろよ………………
ったく………俺の気持ちも考えてくれよ………………
『もう……二度と離さない…………』
『うん…………離さないで…………んっ』
パ〜!……と幸せそうな音楽が流れ、エンディングに入った
くっそ…………キスしやがって………………幸せそうだな!まったく………………
どうして、俺がこんなにドラマひとつでぶちギレているのかと言うと………………それは2週間前に遡る…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「りぃーーん!おかえり!んぶっ!?」
いつも通り、帰ってきた鈴にお帰りのキスを送ろうとした時だった
唇を塞いだのは、愛しい唇ではなくていとしい人の手のひらだった
なぜ?……と目を向けるとキッ!と厳しい目でにらみつけてきた
………………ありゃりゃ?
「触んないで!
もう!晴也のせいで今日恥ずかしかったんだから!
もうこれからキスも、エッチもしばらく抜きだからね!」
「は!?なんでだよ!」
「自分の行いを、思い返して、反省して!」
鈴が帰ってくるなり、顔を真っ赤にして怒っていた
恥ずかしい思いをした……と言っていたが心当たりがまっったくない
自分のした事………………?
えー…………と、思いつくことといえば…………
エッチ……激しくしすぎた……とか……?
いや、でも次の日歩けてたし………
キスしすぎて、唇腫れた……とか?
いや、見た目は変わってなかった…………
うーん、うーん、と悩んで、ひとつの結論にたどり着く………………
………………まさか!!
こ、子供ができたとか!!!!!
そ、それなら納得出来る…………
近づくなって言うのも、子供が流産しないためで…………
安定期に入ったらゆっくりさせてくれるとか!?
ただの妄想に色々理由をつけると、思い当たる節がいくつも出てくる
確かに、最近毎日エッチしてたし
中出しも、沢山した
一晩に4回は最低エッチしてたし……
抑制剤も、飲ませないようにしたし…………
こ、子供…………かぁ………………
むふふ………………と1人で笑ってしまう
ごめんな、新太、香織…………八つ当たりして
結ばれてよかったな……うんうん、俺も幸せだよ
ぐふふ、と一人で笑っているとお風呂から上がった鈴がドン引きした顔で俺を見つめていた
「え、なに、晴也、気持ち悪い…………
面白いのやってるの?
……………………情報番組じゃん、何が面白……」
「っ!鈴!!」
「ひゃいっ!!
な、なにさ…………びっくりした…………」
俺は鈴の両手をつかみ、すぅ……と息を吸い込むと、大きな声で宣言した
「俺!鈴も子供も大切にするから!
大事に、大事に触るから!
だから……な?お腹触らせて…………?」
フン!と勢いよく嬉しさを爆発させた俺に対して………………
鈴は、訳が分からない……という顔で俺を見つめてきた
「……………………はぁ??」
あ?なにか間違えた………………のか?
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