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お化けより怖い
あっちぃ…
深夜。
寝返りうって大きく息を吐き出せば、目の前の塊がモゾッと動いた。
起こしたか?
一瞬息を止め様子を窺うが、規則正しい寝息が聞こえてきて安心する。
スー…スー…と、静まり返った室内に広がる呼吸音。
それに合わせて上下する薄い胸。
一緒に暮らすようになって2年。
布団は別々に敷いていても、お互い布団の端に寄って眠っている。
まるで寄り添うように。
幼稚園からの付き合いで、要のことなら女の好みからホクロの位置まで知っている。
多分それは要も同じことで、俺のことなら何でも答えられる…と、思う。
何となく手を伸ばす。
染められていない髪は艶やかで、そこから覗く耳は案外小さい。
「…ん、」
柔らかい耳朶をふにっと摘まめば、眉が僅かに寄せられる。
…おもしれぇ(゜▽゜*)
ふにふに…
繰り返し摘まんでみる。
白玉みたいな感触が癖になりそうだ。
起きるかな?
起こしたら悪いよな…でも…
ふにふに、ふにふに
キモチいーなー…もう少しだけ…
「……んあ゛?」
あ、起きた…(゜▽゜*)
ゆっくりと開かれた目が瞬きを数回。
やがて俺を認識したのか、その瞳がスッと細められた。
「……何してやがる」
「え、耳朶揉んでr…っでぇぇ!!」
ガブッ!!
遊んでいた指先を握られ、そのまま口元に運んだかと思うと勢いよく噛みつかれた。
ちょ、何!
このこ狂犬!?Σ(-∀-;)
「次起こしてみろ、てめぇの粗チン噛み切ってやる……」
「(殺される)ご、ごめんなさい…((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
向けられた背中に小さく謝り、ジンジンと疼く指先を撫で目を閉じた。
痛いよー…狂犬に噛まれたよー…怖いよー…。
長い付き合いだけれども。
寝起きの機嫌が悪いのも知っていたけれども。
まさか噛まれるとは思わなんだ…orz
再び聞こえてきた寝息に己の浅はかな行動を反省する、丑三つ時の出来事です。
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