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第4話
「今日、マジで客多いよな、なんかあったん?」
「さっきの時間売上見ました? 2万超えてたんですよ」
「マジで? めっちゃ忙しかったもんな」
「この先のライブハウスでクラブイベントやってるって聞きました」
あいつがレジ担当の新人バイトと話している。人をたぶらかす甘い笑み。
新人バイト君がドキドキしたように目をそらす。
17歳の健全な男子高校生を悪の道に引き込むなや。
「それ関係ないやろ、うちサンドイッチ屋やで」
「あー、サンドイッチ食べながら踊ろうみたいな?」
「あほやな、それ」
四人連れの客が入ってきて、二人が声を揃えて挨拶する。
「いらっしゃいませー、ご注文お決まりでしたらこちらへどうぞ」
高2の時に始めたテイクアウトのサンドイッチ屋でのバイトを俺もあいつも続けている。もうすぐ俺は4年目、あいつも3年目に入るからバイトの中ではかなりの古株になった。
「ファーストアップ」
言うと同時にベーコンエッグサンドの包みを滑らせて、次の注文に取りかかる。
今日の俺はキッチン担当で炭焼きチキンのホットサンドとエビとアボガドサンドを手早く仕上げ、ドリンク担当の店長がソイラテとキャラメルマキアートを用意している前に滑らせてセカンドアップ。
しばらく経って新人バイトが上がると、今度は俺がレジに回された。
次のキッチン担当はバイト歴3年目の女子大生で仕事が早い。
すっきり美人の彼女は店長のお気に入り。
並んで仕事したいて丸わかりの店長が、俺は嫌いやない。
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