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第6話
難波の裏路地、深夜になっても人の多い細い路地を肩を触れ合わせて歩く。
試験期間とかでバイトは擦れ違いで、会えたんは一週間ぶりやった。今日は新人バイト君の歓迎会。気やすい店長の方針でバイトでも歓送迎会なんてやってくれる。
「なあ、僕らってカップルに見えるんちゃう?」
酔ったふりして腕を回して腰に抱き着いた。
際どいところをおもくそ撫でてやったのに、まるで涼しい顔して「そうかもしれへんな」やて。
ちっ、つまらん男やな。
かけらも動揺せんなんて。
「そもそもお前、彼氏を選ぶ基準は何やねん?」
「えー、顔と身体とエッチの相性?」
「あほやな、お前」
「その顔わりと好きやで」
そう言うてやったら、ますます奴は眉間のしわを深くした。ふふ、楽しい。
ため息つくときの眉間にしわを寄せた顔。
それが見たくて、僕はくだらない嘘をたくさんつく。
ホンマはそんなにつき合うてない、もちろんそんなこと教えてやらんけど。
来週にはもう一人、架空の彼氏を設定しよかな。
それとも昨日、声かけてきたあのイケメンと恋愛ごっこしてみたろか?
イケズで頑固な男に手を伸ばして頬に触れたらちっと舌打ちされた。
ひっど、なんやそれ。
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