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序章・4
ギデオンはデルネオラと一戦を交え、彼女の命を奪ったことを思い出したのだ。
デルネオラは邪心を持った女神で、人びとを闇へと誘い、惑わす。上半身は波打つ漆黒の髪を持った美しい女神ではあるが、下半身は巨大な蛇の姿だった。
ギデオンは人びとの祈りによってその姿を現した。そして彼はデルネオラと命を賭して戦い、勝利したのだった。しかしその時、彼女の呪いを受けてしまった。
まさかその呪いが生まれ落ちる愛おしい我が子に降りかかろうとは――思いも寄らぬ出来事であった。
「わたくしは禁忌の子を産み落としてしまったのですね」
この惨劇に胸を痛めたのは他でもない、忌み子の親になった二人だ。
女神アデルは悲しみに暮れ、英雄王ギデオンは邪神の呪いを受けてしまった不用心な己を責めた。
だが、天界を統べる天界神ウラノスは二人を責めることなく、禁忌の子を天界から遠く離れた荒れ果てた塔に閉じ込めた。
そこには何人たりとも入ることは許されず、鋭い棘を持つ茨が侵入者を拒む。絶対的な牢獄だ。
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