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序章・6

 カラムの言葉に頷き、ウラノスは(たず)ねた。  するとカラムは静かに口を開いた。 「私が悪魔なら、闇でもなく光でもない世界が格好の居場所かと存じまする……」  カラムの視線は目の前の美しい花々が咲き誇る庭ではなく、遙か遠くを見つめていた。どうやら彼にはもう忌み子がどこにいるのかがわかったようだ。 「なるほど、地上界(グラウディア)か。たしかにあそこは広い。人間やドワーフ、それにエルフや魔女。様々な種族が王国を築き、暮らしておる」  道理で天使たちに暗黒界や天界を探させても忌み子を見つけることができなかったわけだ。ウラノスはふたたび大きく頷いた。  忌み子を連れた悪魔が地上界に逃げ込んだとするならば、事態はややこしくなる一方だ。  ウラノスは自分の考えがいかに浅はかだったかを知り、苛立ちを隠せない。  それというのも、地上界には天使たちとは違い、悪魔が好む欲望や邪念に取り憑かれた者がいるからだ。そして地上界の者たちの知力とそして魔力は神々に匹敵するほどの力を持ち得ている。

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