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第一章・フェイニア国王子。

 銀の鎧はどんな刃も物ともしない頑丈且つ軽量素材のミスリルだ。武装した彼らは槍、あるいは剣を持ち、好き勝手に暴れ回るジルグをことごとく貫き、葬り去る。 「我はフェイニア国、王子キアラン。この地はこれより我らが制圧する」  朱の布地に金糸であつらえた太陽の下で雄々しく吠える獅子の旗を掲げ、彼は声高らかにそう宣言した。  年の頃なら二十半ばほど。エルフ族特有の遙か遠くまで見渡すことができる美しいエメラルドの目。優れた聴覚を持ち得ている尖った耳。そして王家から代々受け継がれている月の輝きにも似た流れるような艶やかな金の髪をたなびかせ、一切の迷いがない剣を振るう。白馬で駆ける彼はまるで天使のごとく美しく雄々しい。  角笛が空気を振動させ、馬が駆け抜ける。砂埃が舞い、矢が飛び交う。剣がうねり、兵士が唸る。  彼らの鋭い刃が振るわれる毎に、周囲にあった重苦しい空気は消えていった。

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