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代償行為→sideS

頭の中で考える言葉はドイツ語なので、日本語変換機能が働いてないくらい朦朧としてると、つい口からそのまま飛び出してしまう。 富田君がドイツ語を知らなくてよかった。 2人には告白しろとばかりに背中を押されたが、その勇気はまだない。 Ich dichは、好きだって意味。 思わずつぶやきたくなった。こんな関係に、こんな言葉は不毛過ぎて苦しい。 言う事で快感中枢が刺激されるから、言っただけ。 苦しいことは、苦手だから、1週間もしたらちゃんとやめないと…………ちゃんと。 富田君は、いつものように甲斐甲斐しく身体を拭いたり綺麗にしてくれる。 嫌いだとは言われても、すごく優しいから勘違いする。嫌いなら、ヤるだけヤッて帰ればいい。 最初からそうだ。 「…………真壁はドイツ人なのか?」 「日本人。…………名前だって、日本だろ」 ガキの頃は日本人を主張しすぎて、逆にイジメられたっけ。イジメは逆上したらヒートアップする。 「目ん玉、コンタクトじゃねえから」 執拗に目を舐めていたのは確認してたのか。 「4分の3は日本人。残りだけドイツ。目ん玉とかは先祖返りらしいよ……」 「ふうん。そか。まあ、オレも一緒だからなー。オレはまったくドイツ語しゃべれねえけどさ」 一緒? 「富田君もドイツのクォーターなの?」 「ああ…………会ったことねえけど、ばあさんがドイツ人らしい。ドイツ語しゃべれんのすげえな」 なんだか親近感が湧いて、俺は少し嬉しくなる。だけど、富田君は俺のようには、姿形にソッチの要素はあまりない。 「10歳くらいまで、ドイツに住んでたから。逆に俺、日本語、少しおかしいだろ?」 ずっと、それでイジメられた。 「おかしかねーけど、ヤンキーにしちゃあ、丁寧だよな。」 少し考えこみながら、富田君は素直に答えてくれる。 「そうか?俺の日本語、ハセガワとか日高に教わったから、ヤンキーっぽいかと思ってた。小学生の時の、ホントに大事な友達なんだ」 「ふうん…………」 ごろりと俺の横に富田君は転がり寝そべる。 鼻梁が少し高いのは、遺伝もあるのかもしれない。 ただ、ただ、見つけた共通点が嬉しく感じる。 「…………なあ、アンタのこと……抱いて寝ていいか」 富田君はおもむろにそう呟くと、返事も聞かずに俺を引き寄せて抱きしめた。

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