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未練未酌→side T
明日は土曜だしこのまま泊めて貰おうかと考えて一緒に寝たいと告げて、真壁を背後から抱き寄せると身体が少し強ばる。
「………………せめえ、ぞ。俺、床に寝ようか」
いつものように、平然と返ってくる言葉には違和感はなかった。
だけど、何故か身体は強ばっている。
「アンタを抱いて寝たい」
「わかった…………ベッドから俺を落とすなよ」
押し切るとそのまま、文句のようなことを言いながらも素直に身体を預けてくる。
なんだろうか、今の間は。
「で、さ。イッヒデルって、さっきの言葉の意味なんだよ?」
ダンケは聞いたが、さっきのは聞いてないなと蒸し返す。
真壁の身体は再び強ばり、迷うかのように少し黙り込む。
いつもあけすけなくらい素直で正直な男にしては珍しく言い淀んでいる。
なんだろうか。
「…………くるしい、って意味だよ」
返ってきたのは、それを言った表情には似合わない意味だったので、オレは首をひねった。
気持ちいいじゃないのか。
辛そうな顔じゃなかったんだけどな。
「どっか痛かったか?」
「…………大丈夫。やっぱ言わなきゃよかったな。息苦しくて思わず言っちゃただけ、心配すんなよ」
問いかけに笑いながら返答が返ってくる。
心配させたくなくて、言い淀んだのか。
脅迫されてる癖に、なんでそんなことまで気にするんだか。
グイッと強く抱きしめる。
諦めると、解放してやろうと決めているのに、まだ勇気が出ない。
まだ、どっかで未練たらたらだ。
初恋の天使に似た目の色をしているのもあるが、オレが憧れてやまないものを手にしているからかもしれない。
こんな関係続けたところで、恨まれるしかないのに。
もっと話がしたくて、思わず問いかける。
「真壁、兄弟とかいるのか?妹とかいないの」
「一人っ子だよ。会ったことのない兄弟ならいるかもしれないけどね……もし、俺に妹がいたら、狙う気?俺に飽きたから妹にとか、こわい!」
ちょっと考え込み、しゃべりながら微妙なことを言いだす。
天使がもしかしたら真壁の妹かもとか思ったが、違うようだ。
「ちげえよ。つか、なんだ、飽きたから妹とか。わけわかんね。………俺は弟がいるよ……まだ、2歳だけど………」
「へえ、可愛いのか」
「まあな。綺麗な金髪で親父に似てる」
くるくる巻き毛でたまにしか会わないが、日に日に可愛らしさを増していっている。
「いいなあ、弟とか欲しかったな。一人っ子は寂しい」
「良いアニキになりそうだよな」
「どうだろうな、イジメまくるかもしんねーよ」
そんなことはないだろうと、囁きながら真っ白な肌をぎゅっと抱え込む。
仲間に対するアニキ肌を知ってる。
そういや、弾力のある筋肉なのに、肌はなめらかで綺麗だ。
オレはアンタが見せるアニキ肌よりコッチのほうが、何倍もいいけどな。
「でもよ…………俺には妹はいねえけど…………飽きたらちゃんと言えよ」
もう飽きてくれという願望なのか、飽きるなんてこなそうなオレへの牽制なのか。
オレは無言でその身体を強く抱きしめた。
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