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游移不定→sideT
「タケちゃん、最近ボンヤリだな。なんかあった?」
教室でぼんやりと携帯アプリを眺めていると、元宮に声をかけられる。
元宮は幼馴染みで、数少ないオレの理解者である。
最初に東高にすげえ人がいるって真壁の話をもってきたのも、元宮だった。
「んー。ミヤさ、好きな人ができてさ。好きだと気づかなくて、イジメちまって嫌われてたら、……でどうする」
「なんだよ、いきなり恋愛相談かよ」
元宮はブハハッと笑い、椅子を寄せて興味津々とばかりにオレの横に座る。
だいたい、元宮が真壁に助けなんか求めたせいだとも思うのだが、恨み言は言わないでおく。
助けられたのは、確かだ。
「誠意みせるしかないんじゃない?優しくしてやるとか、プレゼントとかさ。で、可愛い子?」
「…………かわいくないけど」
「女の子は顔じゃないよな」
オレよりでかいし、力はあるし、強いし、虐めても平気な顔してるし、女の子でもない。
だけど、抱くと素直に気持ちいいとよがるし、泣くし、女の子より可愛い。
携帯のアプリを起動させて、ためらいがちに名前をタップする。
2日くらい呼び出していない。
土曜日は朝飯が出来たよと優しく起こされて、ぼんやりしているうちに、まるで料亭旅館かよと思うような和風料理が部屋に運ばれてきていた。
脅迫されてる相手に、あのおもてなしは違うだろと思ったのだが、あまりの美味さに賞賛しまくると、真壁は照れながらも嬉しそうに笑っていた。
なんだか、へんな違和感がずっと続いている。
1週間たってしまったけど、このままズルズル続けていいのか迷っている。
「タケちゃんさ、好きだって言ったの?」
「言ってない」
「だよね。まず言わなきゃ、ダメじゃねえのか」
元宮はオレが気にしている携帯を眺めながら、そう教えてくれる。
素直にそんなこと、言えるわけがない。
「…………言って、拒絶されたらイヤだ」
1度恋人になれと言って、拒絶されたのが妙にこたえている。
脅迫の延長線だったからかもしれないが、あの時オレが好きだと答えていたら、変わったのかもしれない。
だけど、多分あの時はイラつきの方が大きくて、素直になんかなれなかった。
「誰だってそうだけどさ…………とりあえず、デートにでも誘ったら?」
オレは元宮に言われるがまま、携帯に誘いを打ち込んだ。
【放課後16時に、駅前ショッピングモールの入口までこいよ】
と、入れて送るとしばらくらしてから、返事がくる。
【分かった】
いつも素っ気ない返事だなと、思うが脅されて相手してるんだし、仕方がないだろう。
携帯をポケにしまい、オレは机に突っ伏した。
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