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単純明解→sideT

わかれよと言われてもな、と、唇が離れた真壁の顔を釈然としないまま見返す。 真壁は床に座って、座卓にならべたあたたかなカツ丼を食べようと指差す。 まあ、オレも最終的に告白を分かれよで締めくくったわけだし、ある意味仕返しなのか、とも思うがよくわからない。 「とんだ、ビッチ発言にびびるわ」 どこが好きかと聞いて、まさかちんこと言われるとはまさか思わなかった。ホントにまさかすぎる回答に泣いていいですかと言いたい。 いや、オレも真壁のことは身体からオトす気満々だったけど。 オレの手筈通りで、計画通りニヤリなとこなのに、なんだか切なくなってくる。 「ビッチ?ちげえよ、俺は結構一途だぞ。安心しろ、お前のしか入れる気はねーから」 元も子もないことを言いながら、箸を手にしてイタダキマスと元気のいい声を出す。 「どこが好きかって聞かれて、最低な答えは顔と体なんだぞ」 げんなりしながら、座卓の前に座るとうまそうなカツ丼が視界に入る。 真壁は神妙そうな表情を浮かべて、オレの股間をわざとらしく眺めて、首をひねる。 そんな仕草のひとつひとつが可愛らしく見えてしまうから、アバタもえくぼの恋心の偉大さだ。 「俺はさ、まだ富田君のことは体しかしらねーからよ。体だけでも情は移るし、唯一ちゃんと知ってる体を好きだと言ってんだが、それって問題あるのか?」 そりゃ、それ以外っつたら恩を仇で返す不逞の輩だってぐらいだろうしな。あまりいいところはない。 真壁の言うことは単純明解、わかりやすい。 体を好きだなんて言ってくれるのだって、きっかけにしてみたら奇跡に近い話だ。 「問題は、ねーけど。」 「でも、たまに優しくわらうときは、すごく可愛いって思うぞ。普段は眉のとこがしわしわでさ、こえー顔してるからな。……メシ冷めるから早く食えよ」 箸をくわえながら、オレを見下ろして笑う真壁の方が百万倍可愛い。 すっかり、オレは真壁に骨抜きな気がする。 イタダキマスをして、カツ丼を口に含むとあったかくて、優しい味がする。 「本当は去年、真壁にテッペンとって欲しかったんだ……そのためなら、何でもできたのに」 もごもご食べながらオレは自分の胸の中のわだかまりを吐き出す。 真壁は、じっとオレを見返してゴメンとつぶやく。 「…………元々、そういう争い苦手で、俺は派閥に入ってなかったし、今の派閥は面倒みてくれた五十嵐さんていう先輩から預かっただけだからさ。テッペンは要らないんだ。ちゃんと1年だった富田君たちに言わなくてゴメン。喧嘩はさ、大事なもん守るためだけに仕方なくしかしたくねえんだ」 分かってたけど、一番つえーやつが、テッペンとらないでどうするなんて考えてた。 カツ丼を味わいながら、真壁の言葉にたまらなくなりながらもぐもぐと咀嚼する。 「分かってンよ……。アンタがオヒトヨシなのはさ。なんで脅迫してたオレも許してくれんだよ…………」 甘い味付けのカツ丼は、あったかくて腹にたまる。 「気持ちよかったし、別に最初からイヤじゃなかったし。脅迫されてるってあんま思ってなかった」 照れたような顔で言う真壁のサッパリしすぎた性格は、男らしくてひどくカッコイイが、内容に難がありすぎる。 「でもさ、続けてると癖になるし、違う欲がでちまうからな」 「…………脅迫じゃなかった…………か。そうだよな……」 最初から、オレを潰せばいいことじゃないかとは、思っていた。 一気にカツ丼を食べ終えると、オレはずっと考えていたことを提案する。 「あのさ、士龍って呼んでもいいか?あと、オレのことも、虎王って…………呼んでほしい」 一瞬目を開いて、士龍はすぐに真っ赤に顔を染めてオレを見返す。 反応の可愛らしさに、オレは喉を鳴らして見返す。 「かまわねーよ、なんか、ちと股間にくっけど。…………パブロンの犬だっけ。エッチの時に呼ばれてたから、たけおに呼ばれっとさ、ちんこ濡れる」 本気で言ってんだろうな。たぶん、それ。 しかも、パブロンって、おい、風邪薬の犬か、それ。パブロフの間違いだろ。オレでも聞いたことあるぜ 「じゃァ、いつでも濡れてろよ。士龍」 わざとらしく耳元で囁くと、士龍の目元に熱が宿る。 「俺ァ、やっぱ、とんでもなくビッチになっちまったのかも。スゲー、今、オマエが欲しくてたまんねーや、たけお」

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