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僅花一朝→sideS

教室の扉を開けて虎王がゆっくりと俺らに近づいてきたのがわかり、その言葉に俺はちょっとばかり嬉しくて胸が高鳴った。 が、次の瞬間、虎王の体は吹っ飛んで床に叩きつけられた。 思わず席を立つ俺を、グイッと道郎が押さえる。 いきなりモノも言わずにぶっ飛ばしたのは、将兵である。 「ッ、てえ…………」 殴られた腹部を押さえながら、虎王はフラフラと立ち上がる。 直哉たちは身構えるが、虎王に戦意はないのを見とって、様子をうかがっている。 「ショーちゃん…………をい、ちょっと待って」 「悪ィ、とりあえずムカッとしてたんで、ケジメの1発くらい入れさせろや」 俺が将兵を咎めると、ハハッと笑って肩を聳やかす。 まあ、将兵はこーいう奴なんだけど。 とりあえず、まずなにより拳からの男である。 「たけお、自分のトコには話してきたんか?」 腹を抱えて痛みを堪える虎王を手招きして、少し気を立てている仲間を落ち着かせるように手のひらで軽くいさめる。 「ああ。別に、士龍に張り合ってたのはオレだけだし、解散とかじゃなきゃ、スルーしてくれるらしい」 まあ、そうだろうな。 あの中で俺とやり合いたがってたのは、虎王だけだったし。 「富田、テメェ、士龍サンが抜けてンのをいいことに、何コマしてんだよ」 将兵の脇からガッと立ち上がって、虎王の胸ぐらを掴んだのは、俺のトコの特攻隊長の多一である。 将兵におもくそ殴られてんだし、それ以上いじめないでやってほしい。 将兵の拳は当たると重いからな。 それに、抜けてるとか、それは俺への悪口だろうか。 うーん。 「多一君、俺は抜けてるかもだが、嫌なら殴るぞ。まあ、それに、虎王のちんこきもちーし」 言った途端に、多一君は深々とため息をついて俺を見上げる。 横で将兵が大爆笑していて、道郎にはたかれている。 「……士龍サン、そんなにきもちーの好きなら俺だって、士龍サン抱けますから!!」 「俺もだ、こんな赤髪野郎のちんこより、俺のほうがイイですよ。士龍サン、考え直してください」 直哉まで、なぜか必死に俺に迫ってくる。 俺も本物のビッチじゃねーから、誰でもいいわけじゃねーんだけどな。 「全員で、士龍サンのこと気持ちよくさせれますよ」 そんなアホな話をマジな顔で言われても引くけどな。 将兵は笑いながら俺の背中をバンバンたたく。 「士龍、超モテモテ!!うわー、マジでうらやましくねーケドな」 「ショーへー、茶々いれねえの。こないだは、シローの恋バナ応援するって言ったし」 「バカ、あれは、小悪魔のぼいんぼいんちゃんだと想定してたんだよ」 道郎と将兵はなんか言い合いをしているが、とりあえずこいつらをどうにかしねえとな。 虎王は俺の肩をガッと掴むと、 「まだ、ちんこだけかもしれねーけど、でもオレはホンキだから。お願いだから……他のは……試さないでくれ」 もー、めんどくせえな。 俺は、虎王の口を掌で乱暴に塞ぐ。 ちゃんと好きだと言ってないし、仕方ないけどさ。 「悪りぃ。俺は一本しかいらねーし、コイツのを気にいってっから。オマエらのちんこもきっとイイモンだと思うけどよ。恋心とかは、そんだけじゃねーからさ。分かってくれ」 直哉たちに頭を下げる。虎王は、離反組だからわだかまりはでかいのは分かっている。 「なんで、富田なんですか?」 なんで? そんなもんは一つしかない。 「ンなの、知るか。分かって恋愛なんかできんだろ、とりあえずそういうことだから」 感情なんかは、全くわからない。 そんなもんはわかるわけがない。 俺は、限界とばかりに虎王の腕をグイッと引く。 「ちゃんと話すっったのはオマエだろ?中途半端すんなよ」 面倒になったのがバレたのか、虎王は俺の肩を掴んで椅子に座らせてもどした。

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