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僅花一朝→sideS

虎王のバイクにタンデムして背中に抱きつくのは心地よい。 またもや、原付を学校においてけぼりにしてしまった。 スピード感はやっぱりバイクだよね。 最近、タンデムが多いなァ。でも、俺の原チャじゃ遅いしなァ。 速くてバイクはいいよなァ。バイクの免許とりいきてーけど金ないな。俺は原付しか免許を未だに持っていない。 とりあえず、初めて虎王の家にいくことになった。 親とかに挨拶とかしねーととか、悩んでいたら贅沢にも1人暮しらしい。 いままでは、俺の家にくるパターンだったので知らなかったがかなり広いらしい。 「ヤベェ、囲まれた」 バイクで東高の制服着てっと、よくチームの奴らに囲みくらうとは聞いている。 見回すと、並走して10台くらいついてくる。 俺達のデート中を邪魔するなんて、馬に蹴られてしんじまうんだぞ。馬というか、むしろ俺が蹴ってやるけどね。 「そこの路地で片付けようぜ」 俺は虎王の肩を叩き、路地を指差し左折を促す。 めんどくさいが、大事なデートの時間を邪魔されたくはないな。 虎王は指示通り、路地へ入り込み奥にバイクを停める。 俺はメットを外すとタンデムを降りて座席の上に置く。 「なんか用?」 バイクの奴らにゆっくりと間合いをとりながら近寄る。 「高そうないいバイクに乗ってる奴がいるからさ、カンパしてもらおうかと思ってね」 先頭を走っていた男が、俺を値踏みするような目で見てくる。やっぱり、虎王のバイクたけーんだな。見た目もかっけえけど。 金はねーしな。 「乾パン?乾パンはもってねえけど、かにパンならあげよっか?」 前ポケに入っていたかにパンを、差し出すと間髪おかずに拳が降ってくる。 パシッと受け止めて、ギュッと握り返してバイクから勢いよく引きずり下ろす。 「かにパンキライ?」 「テメェ、スコーピオンだと知って喧嘩売ってんのか?」 スコーピオン? あんまりチーム名とかは、知らないけどな。 「ゴメン、スコーピオンさんね。さそりパンは売ってないから」 折角出したのでなんとなく勿体無いから、かにパンを齧る。 「なに遊んでンだよ、士龍。時間もったねーよ」 後ろから来た虎王は問答無用で、バイクの奴らを引きずり回すように殴り始めている。 「東高の富田!?」 相手は虎王に怯んで、後ろの方のは逃げ出している。 「そうそう、コッチの抜けてんのは、真壁士龍だからね、怒らせないうちに逃げた方がいいぜ」 虎王は俺の紹介もしてくれて、逃げ腰の奴らを捕まえて壁際へ追い込んでいる。 俺は拳を握ったままだった、先頭のヤツの拳に力を込めて握力だけでバキバキと骨を砕く。 「ヒギィァァァ!!!」 「かにパンには、カルシウムたっぷりだから、オススメだぞ」 食いかけのかにパンを、悲鳴をあげている口に押し込んで、バイクへと戻る。 「なに、食いかけ食わせてんだよっ!間接チューになんだろっ」 なんだかぷりぷりして戻ってきた虎王が可愛いなと思いながら、タンデムに跨る。 「オマエには直接チューいっぱいすっから、ちっちぇーコト言うなよ」 背後から耳元に囁くと、カッと肌が赤く染まるのが可愛らしい。 「覚えてろよ!ヒイヒイ言わしてやっからな」 照れ隠しに吐いた言葉が、なんだか可愛くてたまらないなと思い、 「期待しとくぜ」 ヘルメットを被り腰に腕を巻きつけた。 到着したのは、豪華なマンションでかなり金持ちのボンボンなんだなって思う。 「親は?」 「おふくろが再婚して、できの悪い連れ子は一緒に住めねーんだよ」 マンションのエレベーターに乗りながらポツポツと自分の話をする。今まで、家族の話とかしたことないしな。 「1人じゃさみしいな」 「慣れたから、そんなでもねーよ」 軽く肩を竦ませて、ぐいぐいと俺の腕を引いていく。 俺も殆ど1人だけど、朝はかーちゃん帰ってくるし、じいちゃんもおじさんも離れにはいるし。 「弟できたしなー、悪影響あたえたらよくねーし」 「ああ、言ってたよな。弟いいな」 靴を脱いで虎王に続いて部屋の中に入ると、思っていたより結構綺麗にしているようだ。まあ、性格もマメだもんな。 「なあ、脅迫してたオレをどうして、可愛いとか思ったんだ」 さっき、直哉とかに言った言葉がひっかかっているのか虎王は俺の顔を下から覗きこんで尋ねる。 「まあ、こないだも言ったけど、脅迫にはなってなかったし、…………ホントに嫌だったら、続けてないからさ」 虎王は俺の顔をマジマジと見返す。 大体、ホントに嫌ならぶん殴って逆に沈めちまえばすむ話だからな。 かーちゃん泣かせたくないから、暴行事件になるようなことは、あんまりしたくないけどさ。 「どういうことだ」 「普通な、脅迫でレイプったら、かなりヒデェもんだぞ。なのに、オマエ優しいしさ。キモチイイし、そりゃあキモチ移るだろ」 とりあえず、キモチ良かった覚えしかない。 「……キモチ…………移る?それって…………少しはさ…………」 虎王は期待するような表情で、俺を見上げる。 「だからよ、脅迫したとか、もう気にすんじゃねーよ。全部俺の意思だ」 言い切ると、虎王はちょっと唇を尖らせて拗ねた様な表情になる。 「オレだけが、脅迫だと調子に乗ってただけか?」 可愛らしいなと思いながら、その唇にそっと唇を落として吸いあげた。 「ich mag ……dich」 口を滑らせたあの日の言葉を繰り返す。 「いっひ、でっひ??苦しいってこと?」 「アレは、ウソ」 「嘘?どういうことだ……?」 はてなマークを張り付かせる。 「まあ、ホントっちゃ、ホントなんだけど、日本語で言うと…………好きだってこと」

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