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僅花一朝→sideT
イッヒ マグ ディッヒ と、士龍は呟いた。
前に聞いたそれは、いっひでぃうひとかなんとかと聞こえたが、正確には、イッヒ マグ ディッヒと言っていたらしい。
ドイツの言葉で、オマエが好きだという意味らしい。
あの時の士龍の表情で、その言葉を呟いたなら、なんというか、すごく……照れる。
苦しいってことだと言われて信じていたが、あの時にすでに気持ちがあったとか聞いて、なんだかすごく満たされる。
「ウソついて、ゴメンな。」
いや、そんなウソをつかせていたのは、十中八九オレのせいだ。
「いや、ビックリしたけど嬉しい」
泣きそうになるくらいだ。
好きな人から好きだと言われるくらい、嬉しいことはなくて、胸がバクバクして止まらない。
あの時のオレは、そんな気持ちを苦しいと思わせるような存在だったとか、もっと早く素直になれば良かったと思う。
「あー。ヤベェ、マジなきそう」
「…………俺は自分を好きな奴じゃないと、俺は好きだなんて言うのイヤだったんだ。オマエは、俺を嫌いなんだと思っていたからさ」
不意に抱き寄せられて、腕を背中に回される。
緑色の綺麗な眼の中に、戸惑い顔の俺が映る。
「最初から…………アンタを好きだった、と、思う。一緒に戦いたいと思って、だけど喧嘩とかに連れてってもらえねえし、諦めて離れても今度は相手して欲しくて絡んでも、全然オレなんか眼中にないし、色々ひねくれちまって、言えなかった…………」
見上げると、士龍はふわふわとした表情で笑みを刻んでいる。
「でも、さっき…………一緒に肩並べて戦えたの…………すげえ嬉しくて興奮した」
「…………すこるぴおん?だっけ。俺は、いつも原チャだし1人で絡まれたことねーしなあ…………。興奮したのか。1人でいくのは、よくミッチーに怒られる…………ゴメンな」
俺の肩に頭をのせて、甘えるようにぐりぐりされると、なんだこの可愛い生き物はといいたくなる。これが、東高最強の男なのか。
「イッヒ マグ ディッヒ…………だっけ。もう1人でいかないでくれ。オレも連れてって…………ほしい。士龍がオレの知らないとこで傷ついたりしたら、イヤだ」
今度は違う意味で。
大事な人を守りたい気持ちでいっぱいで、告げる。
オレの意図を悟るように、士龍は頷いて唇を寄せてくる。
「Ich liebe dich…………Takeo」
発音良すぎてよくわからない。
オレは顎を摘んで味わうように唇を吸い上げ、その背中を抱き返した。
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