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僅花一朝→sideT
このまま、泊まっていってはくれないかな。
時間的には、まだ18時を回ったところで、士龍が帰ると言うなら送っていくのは問題ない。
明日は土曜だから、晴れたらちゃんと士龍をつれてデートとかに行きたいし、もっと色々したいし。
それでもやっぱり帰ると言われたら送るし、帰らせるならシャワー浴びたいだろうし、もう一月も終わる頃だし、髪ぬれてたら湯冷めするだろうから早めにしねえとな。
グダグダと士龍の身体を抱きながら考えていると、ゆっくり彼はオレを振り返って緑色の目で見返す。
「なあ、腹減ったな、なんか作る?」
とは、言われたが、残念ながら自炊しないので、食材とかはまったくない。
「インスタントラーメンくらいしかないから、夕飯どっかに食いにいく?」
「いや、スーパー開いてるべ」
士龍はよいこらせと、身体を起こすとぐきぐきと関節を鳴らして、背を伸ばして立ち上がる。
スーパーはあいててもな…………買い物してから夕飯つくると、いいかげん遅くなるだろ。
「……いまから作るのかよ。疲れてないか?」
「大丈夫。ちと、遅くなるから今日は泊まらせて」
あんだけヤったのに、軽く大丈夫と言われるのもなんか、物足りなかったのかもしれないなどと心配になる。
まあ、意識はとばしてたから、ホントにヤりすぎかと思ったが、回復はやすぎんだろ。化物か。
しかし、泊まってくれるのは嬉しい。
「もちろん……泊まってって」
ニッとしてやったりの顔を士龍にされると、なんだな以心伝心みたいな気分で嬉しくて思わずおきあがって、スエットを2着取り出す。
「少しちいせえかな?」
オレとの身長差は10センチはないが、からだの出来あがり方が違うきがする。
「ダイジョブ、この生地なら伸びるでしょ」
下着を拾って、さっさとスエットを身に付ける。
寒いからこの上に、着てきたジャンパーを羽織れば大丈夫かな。
「たけおの家、初めて泊まるな」
来たのも初めてなんだけど、そんなことは忘れたように士龍かに嬉しそうに言われて、なんだか頬が緩む。
嫌いだと思っていた時は、その歯に衣着せぬ素直さが腹立たしかったが、今はその素直な様子が可愛くて仕方がない。
こいつの周りの仲間もきっとそうなんだろうな。
敵だとむかつく余裕の笑顔が、味方ならば安心できて頼もしいし、癒される。
なんでも、見かたと捉え方だよな。
腹が立つほどの背の高さも、異様に目立つ金色の頭も、すべていまは愛らしく見えるし。
アバタもえくぼとはこのことだ。
スーパーまで五分くらいだ。絡まれないとは思うけど…………。
良くも悪くも士龍は目立つからなあ。
「ジャンパー着て、駐輪場で待っててくれ。一応戸締りしてからいくから」
「りょうかい」
花開くような笑顔は、本当に可愛らしい。
思えば1つしか歳の差はなかったっけ。
あんまり伝説とか作ってるから、もっと年上の人に感じていたけど。
部屋を出る背中を見つめながら、オレは充足感に息を吐き出した。
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