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青天霹靂→sideS

目を覚ますと、横には虎王はもういなかった。 知らない天井でひとりで目を覚ますのはなんだか違和感だけど、布団はあったかで、出たくないな。 もっと、もうすこしだけ布団の中でイチャイチャしてたかったし。 虎王は先に起きたのか、起こしてくれてもいいのにな。 既に陽射しが部屋に入り込んでいて、すっかりデート日よりだななんて思いながら、着ていたスエットを脱いで、着てきた服を着ようかと探していると、激しい物音と怒鳴り声にビックリして、俺は思わず部屋から飛び出した。 そして、目の前にいるはずのない人を見つけてかたまった。 それは、俺の実の父親だった…………。 そして、虎王の父親だという。 なんで、神様ってやつはそんないらない偶然とかを俺に突きつけるのだろう。 俺は昔から知っていた。 とーちゃんには、別の家庭があることも、俺に会ったこともない兄弟がいることも、知っていた。 とーちゃんがかーちゃんも俺も愛してはいないこと。 半ばかーちゃんのワガママに無理矢理付き合わされてたこと。とーちゃんのその時の立場で、拒めなかったこと。 俺が生まれたことで、逃げ道もなくなったこと。 俺が、とーちゃんの幸せを奪ってしまったこと。 全部、分かっていた。 だから、俺は彼からもう、これ以上奪うなんてできない。 虎王には悪いけど、彼の大事なものならば、別れるしか、ない。 一緒にドイツで暮らしていた時も、仕事が終わってもたまにしか家にこない。休暇がとれると、すぐに日本に帰ってしまう。 だけど、それが彼の精一杯なんだって、いつも知っていたしわかっていた。 目の前で、俺のせいで喧嘩を始めた2人に割って入りはたかれたじんじんと頬が痛い。 彼に愛されていないのはわかっている。だけど、ほんのちょっとでもこれ以上は憎まれたくはない。 虎王の為になんでもできるなんて、思ってた。昨日思ったこと、それはホントだ。ホントだと、思っていた。 だけど、とーちゃんに憎まれるのは、もうこれ以上は、無理なんだ。 3人で無言で味気ない朝飯を食うと、学会があると出ていったとーちゃんを見送り、2人きりになる。 無言になるのは分かっていたが、空気が重すぎる。逃げるように俺はキッチンに皿を片付けにいく。 「士龍…………、ウソだよな。別れるとか」 皿を洗い始めた俺に、虎王は食い下がるように背中から抱きついてくる。 俺だって別れたくはないけど、そんなの…………無理なんだ。 無理すぎて、どうにか、なりそうになる。 すこしでも気を緩めたら泣きそうになる感情を無理やり抑えこんで、虎王の腕を力任せに邪険にするように、引き剥がす。 「俺が、終わりだッて言ったら…………もう、終わりなんだよ。…………しつけーな」 そんな風に強めに言わないと、俺の方が参っちまいそうだった。 …………分かったとひとこと言ってくれれば済む。 これ以上傷つけなくてもいい。 傷つけたくないし、傷つきたく、ない。 無傷じゃ、すまないけど、まだ付き合って3日目だ、傷は浅い。 「!!あんな奴の言うことなんか、気にしなけりゃイイだろ!なんだよ、オレとアイツだったら、アイツの方とるんかよ!」 激情のままに俺の肩を掴んで揺すり返す虎王の掌をグイッと掴み返して、静かに告げた。 「ああ、そうだ」

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