80 / 101

社燕秋鴻 →sideS

直哉に告げたコンビニの前で駐車場の縁石に座って待っている間、やってくる客に変な目でみられる。 怪我してるし、血だらけだしな。 パタパタ涙は垂れてくるし、最悪。 よく、虎王の前で泣かないで我慢したよね。 ホントに俺、えらいよね。 すげー、胸いてえのになあ、平気な顔できてたよね。 「ちょっ、士龍サン。ホントに何してんすか!?怪我してんじゃないすか」 バイクからおりて近づいてきた直哉は、俺のシャツが血に染まっているのを見て、かなり慌てたように駆け寄ってくる。 パタパタと焦ってくる様子は、まるでわんこみたいで可愛いなーとか、ぼんやり考える。 「……大丈夫、自分でヤッたヤツだから…………加減してある」 軽く皮膚だけ軽く切っただけ。 血管まではいってない。 よっこいせと腰をあげて、直哉が停めたバイクまで歩み寄り、勝手にバイクのタンデムへと跨る。 「士龍サン…………富田は、どーしたんすか?!」 俺の様子が変だと思ったのか、直哉は勘がいいのか核心をついてくる。 「んー……………。色々めんどうになったから捨てた」 直哉の表情が固まり、俺の真意を問うような目をする。 面倒になったのは確かだ。 ホントのこと、だ。 自分の弟だなんて、面倒くさすぎる。 男同士だってだけで普通に歓迎はされないのに、更に父親が一緒とか。俺には無理難題すぎる。俺は俺の意思を通しただけだから、虎王は悪くは無い。 「ゴメン、本気とかオマエらにいっといて、舌の根もかわかんうちに…………」 直哉はため息をついて首を振ると、バイクに跨りながら俺にメットを手渡す。 「俺らはどんな理由だとしても、士龍サンの味方っすから。だから、そんな顔しねーでください」 いつだって、こいつらは俺の味方をしてくれるのは、知ってる。 ホントにみんなには、俺は助けられている。 「…………村澤さんの家にいきましょうか。俺だと本音だせないでしょ」 メットをかぶると、直哉は気を使って言ってくれる。 確かに年下だから、あんまみっともねえことは、言えない。 「悪い。…………ショーちゃんには、メールしとく。…………でも、まー、たけおは悪くねーのは確かだ。間違っても…………オマエら手ェ出すなよ」 直哉の虎王より少し細い腰に腕を回して、ぐいとつかまる。 念のため釘をさしておく。 手は出さないにしても、あんだけ塞ぎこんでたら、まさか負けないとは思うけど、万が一のこともある。それこそ立ち直れなくなるかもしれない。 この後に及んで変な心配してる。 我ながら、ホントに未練がましい。

ともだちにシェアしよう!