84 / 101

青息吐息→sideT

やっぱり、オレは諦められない。 3日目夕方にようやくオレは重くなった腰をあげた。 死んでは欲しくなかった。だけど、このままじゃオレのココロの方が死んでしまう。 充電の切れかけたスマホをみると、元宮や三門たちの着信履歴がかなり入っている。 そういや、元宮には月曜に休むと連絡したきりだ。無駄に心配するんだろうな。 でも、どうすりゃいい。 もう、2度と会ってはくれないかもしれない。 ギュッと拳を握ると力が入らないのか、なんだかひどくだるく感じる。 伝えたい。 …………忘れられないこと、全部。 聞いてはくれないだろうことは分かってはいた。 だけど、突き動かされるのは感情だけだ。 オレはライダージャケットを羽織ると、バイクの鍵を手にする。 こんなことだけで、諦められっこないだろ。 ヘルメットを被るとバイクに跨ってエンジンを蒸す。 あの人はあまり夜に出歩くタイプじゃないが、今時分なら街のゲーセンとかにいるかもしれない。 仲間と一緒なら、そんなに邪険にはしないかもしれない。 …………せめて、声をかけるくらいなら。 オレは駅前の近くのゲーセンの前にバイクを止めてアーケードゲームの前で待ち伏せをした。 真壁一派がくるゲーセンはここか、村澤さんの家の近くの駅前かどちらかだ。 こなかったら、家に直接いこうか。 ゲーセンで待ち伏せして、手持ち無沙汰に一通りアーケードゲームで遊んだがまったく面白くない。 流石に寒さが腹にきたのか、もよおして近くにトイレを探せず 、裏口に出てすぐのところの壁へと立ちションをする。 マナー違反なんだけど、うろうろしてる間にすれ違ったりしたらつらい。 ふと、横に人影とピリピリとした気配を感じて視線をむけると、いかにものような格好のチンピラたちがいっせいにオレを見る。 やべ、とりあえずちんこ、しまわねえと。 クスリかなんかの取り引き、なのか。 手が震えてジッパーが締められない。 「ガキ、テメェいまの見た、のか?!」 カツカツと靴の音が響いてくる。 力もでねえが、どうやって逃げるか。 なんとかジッパーをあげて、近づいた男にアッパーを喰らわせようと腕を下から振り上げたが、簡単につかみ取られた。 「逃がさねえよ。ガキ」 体がギシギシして痛い。 顔面にぐるくると黒っぽい布が巻かれているのか、視界が真っ黒だ。 口には猿轡、腕も縛られているのか、ギュッと圧迫されている。ここは、どこだ。 すぐに逃げりゃよかったんだが、ちんこ出したまま逃げられねえし。でもこんななるなら、恥を捨ててちんこはみだしたまま逃げればよかった。 空腹で力もでなくて、なんの抵抗もできずに捕まってしまった。 下手を打った。 ここんとこ、ホントに踏んだり蹴ったりだ。 「サツの使いっぱかと思ったけど、タダのガキみたいだな」 ヤニくさい匂いと、まわりからピリピリ肌に感じるヤバイ雰囲気はビシバシ感じる。 やっぱり、こりゃ、コンクリ詰めかな。 最後に…………せめて、士龍に会いたかったな。 未練で頭の中はいっぱいで、たまらない。 「東高ねー。調べたら、医者の隠し子らしいっすよ、こいつ」 どこから調べてきたんだ? 疑問符でいっぱいだが、ヤクザもんの考えはわかる。オレの命で親父にユスリをかけるつもりだ。 あんな奴に救われるなら、このままコンクリ詰めで構わない。 失恋したばっかで、気力も体力なんかまったく残ってない。 未練なんか一つだけだ。 いまさら、どうなったっで構わないのに、そのたったひとつの未練のために生きたいと思う。 殺されたくないと、恐怖感ばかり募っていく。 逃げ出したい。 ここから、早くかえりたい。 あいたい。

ともだちにシェアしよう!