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青息吐息→sideS
「士龍さん、タケちゃん知りませんか」
虎王の親友の元宮がうちのたまり場の空き教室にやってくる。
普段ならたまり場にくるようなことは、縄張り荒らしみたいなものなので、ざわりと周りの連中が立ち上がるが、俺は座れと視線を向けて顎をさわる。
「シラネェ」
アイツが元宮にすら連絡してねーのかと思うと、かなり不安になる。もしかしたら、俺が振ったから…………自殺とかしてねえよな。
酷い振り方したし。
もしかしたら、とか思って吐き出しそうになるのをこらえて、感情を無理やり殺して平然とした表情を返す。
「タケちゃん、士龍さんと付き合うって、先週すごく嬉しそうだったから」
元宮は俺の返答に戸惑いをみせながら、逆になんで俺が知らないのかと、半分責めるような視線を向けてくる。
虎王は、元宮に俺と別れたことすら話してねえのか。
「………虎王とは、………別れたし」
「は?!!?なんでですか!!」
「…………めんどくせーからだよ。付き合うとか、面倒になっただけだ…………オマエには関係ねぇだろ」
元宮に、さっき直哉にした説明をもう一度するのかと、イラついて怒鳴る。元宮はつかつかと俺に歩み寄り、俺の頬を派手な音をたててぶん殴った。
後ろの幹部たちがざわりと立ち上がりかけるのを、俺は横目で見やって抑える。
まったく痛くはないけど、ダメだ…………胸が痛い。
平然としてなきゃ、ダメだ。
「謝りません。士龍さん。タケちゃん、アナタに…………本気だったんですよ」
「…………だったら、どうすりゃいいんだよ。本気だったら…………エラいのかよ」
元宮の胸ぐらをつかんで、思わず殴り掛かるのを抑えてイラついて怒鳴る。
俺が遊びだったわけじゃない。
責められる謂れはない。
「俺だって本気だったんだ…………」
ぼそりと呟くと、俺は拳を握りしめて泣きたい気持ちを堪える。
…………らしくないな。
面倒だから、ゴメンネといつものように、へらへらしとけば済む話なのに。
感情が全然おさえきれない。
「じゃあ………………」
「ダメなんだよ、本気でもダメなんだ…………」
握った拳を机にたたきつけると、机の板が二つに割れて、拳から血が溢れてくる。
あーあ、机がご臨終しちまった。
…………兄弟だから?
そんなんじゃない。
俺のエゴだし、本気でも、あの人に憎まれたくはなくて。
それが、本気じゃないってわけじゃないけど。
俺が天秤にかけて、選んだ結果だから。
「士龍さん……タケちゃんの家に俺と一緒に迎えに行ってください」
元宮は俺の返事もきかずに、有無を言わせず腕をひいて教室を出た。
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