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青息吐息→sideM(元宮)
虎王から連絡があったのは、月曜の朝に今日は休むとだけのメールがあったきり、こちらからのメールへの返信はなく、何度も電話したがついに繋がらなくなった。
幼なじみでガキの頃から虎王とはつるんでいたが、先週の虎王ほど、嬉しそうな様子はいままでにみたことがなかった。
あれほど批判して派閥を出た士龍さんを、恋愛とかで好きになるとか、まったく意味が分からなかったけど。
あれほど悩んでいた相手とやっと付き合ったと、嬉しそうに報告されて、俺も嬉しくなった。
さすがに、サボるとしても一週間はないだろうと、手がかりを探しに真壁一派の空き教室にいくと、普段以上にピリピリとした空気とざわりと幹部たちがたちあがるのに、俺は眉を寄せた。
敵対はもうしないと虎王が言っていたが、雰囲気はなんとなく前より悪化している。
いつもは悠然としている士龍さんはいつになくイライラした表情をして俺を見るが、目の下が少し血色がわるいし、少し血走った眼球をしている。
寝て、ないのか。
「士龍さん、タケちゃん知りませんか」
ギラッと見上げた士龍さんの顔はいつものような、余裕もなにもみえない。
派閥を出ても、俺には結構笑顔を見せてくれてたのに。
「シラネぇよ」
返ってきた言葉は予想外に冷たくて、俺は心臓をキュッと掴まれる。
虎王の奴、何したんだ。
「タケちゃん、士龍さんと付き合うって、先週すごく嬉しそうだったから」
士龍さんは、眉をキュッと寄せてゴクッと喉を鳴らして、振り払うように俺を見返す。
「………虎王とは、………別れたし」
衝撃的な言葉を彼は口にして、1度目を伏せると俺をキツイ表情で見返した。
何故なんだと問いかけると、また、面倒だったからと返って来た言葉に思わず拳を叩きつけた。
普段ならかわせるだろう俺の拳がヒットして、ざわつく周りの声に俺は信じられないように彼を見返すと、怒鳴り返すように本気だったと吐き出した。
吐き出して感情を吐き出す場所がないかのように、目の前の机を叩き割った。
この人が感情的になることは、見たことがなかった。
まるで剥き出しの感情を、布か何かで必死に覆い隠そうと、必死に手負いのようにあがいている。
そんなふうに、思えた。
面倒だから別れたと言ったそばから、この人は、まだ、虎王を好きなのだと全身でいっている。
その気持ちを消そうとあがいている。
なんでかはわからないが、態度のすべてが虚勢のように感じた。
だから、俺は、士龍さんを連れ出した。
もう少し早く士龍さんに問いただしにいけよかった。
後の祭りかもしれないが、士龍さんは無駄とか面倒とかいいながらも、何故か素直に俺についてきてくれている。
後ろから木崎が走ってついてくる。
過保護だなとも思うが、この人の抜け加減をみていると不安になるのもわかる。
「士龍サンは、俺のバイクに乗せてくから」
俺がメットを取り出す前に、木崎奪還されてしまうので、俺はため息をつく。
「ちゃんとついてこいよ、木崎」
「大体の場所は分かってンよ……こないだ迎えにいったし」
メットを士龍さんに渡しながら木崎は俺に返事をする。去年までは木崎とは、同じように士龍さんの下にいた仲間だった。
虎王にはついていったのは、幼馴染というのもあったけど、士龍さんにだけ頼るようは喧嘩はもうしたくなかったからだ。
だけど、こないだ、俺はやっぱりこの人に頼るような真似をしてしまった。
「モトミヤにまで連絡ねぇのはで…………やっぱり心配だから」
何を考えているのかまったく分からないが、目の下にクマがあるし、なんだか疲れた顔をしている。
平気で捨てたわけじゃないのは確かだ。
士龍さんメットをかぶるのを確認してから、俺はスロットを回してエンジンをかけた。
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