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塞翁之馬→sideT

外に出ると、元宮と木崎も既にいてオレは混乱しながらも2人に礼を言う。 2人のことは、ハセガワが護衛してくれると言ったので任せて怪我をした士龍を女装した美人の車に載せた。 カツラを振り回しながら、男たちを蹴りこんでたのを見たが、これがイケメンで有名な日高らしい。 暴れていた時はそう違和感を感じなかったが、女装というより、あまりに美人すぎてあんまり現実味がない。 「シャツで止血はしたけど、シロは横になってた方がいいよ」 カツラをかぶり直した美人は士龍を後部座席に載せて横になれという。 士龍は痛めた脚を伸ばして半寝の状態になると、少し顔色が悪く見える。 「君は、助手席に座ってね……名前なんだっけ」 「…………あ、はい。富田虎王っす」 一応年上だしと、軽く敬語で返しながら、助手席に座る。 「2年の富田君か……噂はきくよ。一応、俺ら狙われるからさ」 笑いながらそう返すが、金崎の一件もあるので、あまり良くは思われてないんだろうなと思いながら、助手席に座る。 なんだか居心地も悪いなとか思いつつ、後部座席の士龍が気になって仕方が無い。 「ヤッちゃん、車もってんだね。すごいなー」 士龍は相変わらずこんな時でも余裕そうに、のんびりとした空気で話をふっている。 撃たれたとしても、そんな余裕は顔するのかよ。 会えた嬉しさで一瞬忘れかけていたが、オレは士龍に捨てられたんだった。 捨てたヤツを、命懸けで助けにくるとか。ホントにこいつはバカじゃないか。 あんま…………期待させんなよ。 何してんだよ。 助けられたのに、また、士龍に腹がたってくる。 きっと、オレじゃなくても、この人は助けにきたはずだと、思う。 会えて嬉しかったけど、このまま蛇の生殺しにされるなら、見捨てで欲しかった。 「親から貰ったやつだから、俺が凄いわけじゃない。シロは免許とらないの?」 「バイトしなきゃね。俺、喧嘩ばっかして怪我も沢山したからさ、あんまりバイトできなくって」 「そうだよねー。俺もトールとなるだけ一緒にいたいからさ、バイトあんまりしなかったし」 士龍と日高はなんてことのない世間話を続けている。意識保つのも精一杯なんだろうなってのは、額に浮かぶ汗を見ればわかる。 「東高の真壁って名前は聞いて警戒はしてたけど、まさかシロだとは思わなかったな」 「ん、仲間にもトール君には手を出すなってゆってたから。警戒なんていっても、俺じゃトール君に瞬殺されるってば」 「ちょっと気持ち悪いなって。名前聞くのに、顔あわせないとかさ……避けてた?」 「わかる?…………だって俺、トール君やヤッちゃんに会えるかなって東高にいったんだよ?だから喧嘩したくないし、なるたけ会わないようにしてたんだよ」 会わないようにしてたのに、オレを助けるためにわざわざ会いに行ったんだったよな。 きっかけは、それだった。 オレはそれを利用して、脅して身体を手に入れた。 許してくれて、心も手に入れたのに。 終わりだと言われて捨てられた。 マンションの駐車場に停まると、日高は運転席を降りる。 身長は高いが、それほど力はあるように思えないし、士龍を運ぶのは無理だろうな。 シートベルトを解いて、助手席を降りると、後部座席のドアを開ける。 終わりを受け入れたのは、オレだけど、でも納得いかないとまたいおう。ウザがられても、死ぬと脅されても、それでも助けてくれたってことはさ、…………ちっとは、期待していいんだよな。 士龍の身体に触れると、士龍は素直にオレに身体を任せるので、支えるようにしてから背負う。 「大丈夫?」 日高はオレに気遣って、声をかけるがこれはオレが運びたかったので、しっかりと頷いた。 「巻き込んで、わ、りい、士龍はオレが運ぶから」 やっと、触れられたんだ。 離したくはない。 「シロは俺らの幼馴染みだから、あんまり俺らに気を使わねーでいーよ」 日高は優しい口調で告げたが、オレは頷いただけで彼を手放しはせずに、日高のマンションへと運んだ。

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