110 / 116
重見天日→sideS
「シロウちゃん、シロウちゃん、早く起きなさーい。お友達がお迎えにきたわよ」
昨夜とーちゃんに会えたのが、よほど嬉しかったのか、かーちゃんは朝から激しくテンションが高い。
普段もものすごく他のかーちゃんより若く見えるが、今朝は格段にツヤツヤしてキラキラとして見える。
階段の手すりに掴まりながら、やっとこ体を引きずり居間に降りると、所在なさげな表情で虎王が玄関に立っている。
学校を休むのかと、メールが来たので単位やべーからなんとか行くと返したら、迎えにいくと返事がきた。
まあ、虎王のバイクのが速いし安全だ。
怪我して歩いていたらねらわれると言われた。まあ、確かにそうかもしれないな。
「悪いな。迷惑かける」
「わざわざ、お迎えにきてくれて助かるわ」
「元はと言えば、オレが.....!!」
かーちゃんに余計なことを言いかける虎王の口をさっと手で塞いで、
「2人でフットサルしてたら、ボールが道に転がって転んだんだよ」
さらっとかーちゃんに言い訳をすると、虎王の肩に掴まり、いってきますと家を出る。
「その金髪で、いい子ちゃんのフリってかなり無茶だろ」
「英語がうまくなるために、金髪にしてんだよ……」
「ちょ、待て待て、それ通じるのか!!?」
「ピアスは耳のツボと鼻のツボの刺激のためだ。俺は体が弱いからな」
まあ、金髪は自毛だからもちろん母親は何とも思ってない。
より、日本人ぽくするために、わざと脱色して自毛感を抜いているが、そんな細かい違いにあの人が気がつくわけがない。
「マジかよ.....」
「ぶは、マジなわけねーだろ。髪の毛は地毛だよ。脱色してるけどね」
「そうだよな。鷹満の髪も金髪だし.....俺だけ黒髪か」
ふうと吐息を吐き出して、バイクに跨り俺にメットを渡す。
「オマエは赤いぞ?」
「染めてんだよ!」
右脚から跨ろうとして、痛めた左足の親指に荷重がかかり思わず呻く。
「をい、痛むのか?…………体重はオレに掛けろよ」
「大丈夫、だ。ちと、間違えた。まあ、ギュッと抱きついとくぜ」
密着して匂いを嗅ぐと、なんだかムラムラしてくる。
どんだけ、俺ってば節操なしなんだ。
「やっべ、ムラムラするー」
思わず耳元で囁くと、カッと首筋の肌を赤く染めて走りだす。へっへ、虎王め、照れ屋さんだな。
ギュッと身を寄せてわざと股間を擦りつけると、怒ったように振り返り、
「運転ミスるから、やめろって!!…………学校終わるまで我慢してろよ」
意外過ぎるマジメな答えにマジメか、と突っ込んで、グイッと腰を抱き寄せた。
浮かれすぎかもしれないが、ようやく取り戻したんだ。
…………恋なんて、そういうもんだろ?
ともだちにシェアしよう!

