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惻隠之心 →side S

今日の昼飯は、購買のやきそばパンとメロンパンと大好きないちごミルクを穂積君が買ってくれた。 別に頼んではいないのだが、俺のクラスメイトたちは色々と俺にしてくれる。 いつも悪いなと思うし、だからかわからないけど困っていたら助けてあげようかなとも思ってしまう。 そんな俺の性格が仇になっているのか、高校に入ってから停学を7回もしてしまうことになった。 長いときは3ヶ月とかもあったので、かーちゃんにはそんな長い夏休みされたら困るとよくいわれたもんだ。 別にすることもないので、インターネットを見ながら他の高校レベルの勉強をしたりして、一応進学しても大丈夫にはしている。 その前に、高校卒業しねえとだけどな。 ちゅーちゅーとイチゴミルクをあまいなーと思いながらすすっていると、教室の扉がガラッガラッとけたたましく開かれる。 「…………士龍サン」 俺の目の前にやってきたのは、富田君とこの元宮とか幹部たちでである。ずいぶんヤられたようで、制服は乱れてボロボロで土だらけで顔にも殴られたような鬱血や擦過がある。 ハァハァ荒い息をつきながら元宮は俺の前にを見据える。 ざわっと、俺の周囲が緊張したように戦闘態勢に入るが、それをいさめるように俺はかるく手を振る。 元宮も、富田君と1年のときは俺のとこにいたけども、俺が留年したら離れてしまった子だ。 結構ひとなつっこくて、色々してくれる子だったから、あんまり顔をみせなくなっちゃって寂しいなとも思っていた。 「モトミヤ、久しぶりじゃない?メロンパンあげよっか?」 少しメロンパンを摘んで、モトミヤの前に差し出すとちょっとため息をつきながらもぱくっと、メロンパンを食べてくれる。 相変わらずいい子だなぁと思う。 元宮の制服はよれよれだし、どっかでひどい乱闘してきたのがわかる。 なんかあったかな。 「士龍サン…………こんなこと言える義理じゃねえんすけど、助けてください」 「どったの?」 まあ、大体の察しはついたけど。 今朝、富田君はかなり息巻いていたから、俺の制止なんか無視して突っ込んだんだろうな。 「タケちゃんが………やられてて………、タケちゃんには止められたんだけど、俺ら皆で、報復いって、結局、あしひっぱっちまって……ッ、タケちゃんは俺らのこと逃がしてくれたんだけど……っ」 泣き出しそうな面をする元宮に、俺は溜息を漏らす。 「ッたく………あンの………バカ……」 朝にはあんなに忠告したのに。 えっと、俺の言葉なんかねこに小判、ぶたに念仏?だったのかよ。 まあ、あの様子じゃ、アイツは引き下がらない感じはしたんだけどなァ。 元宮は泣きそうな顔を必死に堪えている。 くそ…………そんな顔されっと、俺は頼みごと断りづらいんだよなぁ。 「士龍サン、助けにいくことはないですよ」 直哉たちはすぐに近くに寄ってきて、俺の表情を見て察したのか必死に止めようとする。 ま、確かに助けてやるギリはなんだけどさ。 ギリギリと元宮は悔しそうに奥歯をかんでいる。 俺はぱくぱくと残りのメロンパンを腹におさめると、のろのれ立ち上がる。 「悪ィ、オナカ痛くなったから、ナオヤさあ、午後の授業は代返しといてぇ。俺はモトミヤと一緒に保健室いくね」 ひらっと手を振ると、必死の形相で俺の腕を引く。 「助けになんか……いきませんよね?」 「いかねーから、お前らはいつも通りすごしてろよ」 俺はゆっくり歩きながら、元宮の腕をぐいぐいと引いて教室を出る。 「で、場所。どこ?」 元宮は頼まれたら断らない俺の性格も、絶対に仲間を巻き込まない俺の性格もどっちも熟知しているからなのか、軽く息をついて場所を答えた。

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