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竹馬ノ友→sideS

小学校が同じだったことを、こいつが覚えているかどうかは賭けだったが、使えるものはなんでも使わないとな。 それが俺の切り札。 小学校のころは、ハセガワの幼馴染みだった日高康史と一緒に常に遊んでいた。 日本語の話し言葉も、彼らから教わったし、俺はチビとか女とか言われる度に、喧嘩をするようにもなり、ハセガワが手を貸してくれたりした。 「…………オマエ、誰?」 俺の言い草に記憶にひっかかるものがあったのだろう、ハセガワから戦意がまるっと消えて、俺を見る目にハテナマークが浮かんでいる。 「小学校で同じクラスだった、シロだよ、トール君。覚えてるかな?」 その頃、俺はハセガワをトール君と呼んでいた。 首を傾げて見返すと、記憶に思い当たったのか、ちょっとだけ俺を軽くみあげて、驚いた顔をしてほおっと声をあげる。 「シロ……か?すげえ、おっきくなったな…………」 多分ハセガワの中では、身長がちっさかった俺の記憶のままなのだろう。 俺はちっさかったし、ハセガワはその頃からかなりでかかった。 士龍と呼ばすシロと犬のように呼んで、そんな俺をからかう奴等から、守ってくれたり加勢してくれた。 俺の中では、ヒーローだった。 だから、戦いたくないと思って、ずっと避けていたのだ。 「おー、いちごみるくいっぱい飲んでるしねー」 牛乳は生臭くて嫌いだけど、いちごみるくなら飲める。 「そっかァ、あ、シロ、コレ返す」 さっき俺が言ったことを覚えていたのか、貸してたオモチャを返すかのように、ひょいっと富田君を俺に投げ渡す。 俺は血と土で汚れたそれを受け止めながら、ハセガワに深々と頭を下げた。 「アリガト。ゴメンネ、ウチの子たちさ、今の3年にオマエ潰したらトップにしてやるって言われたらしくって」 俺の言葉に、ハセガワは心底不快そうに眉をギュッと寄せる。 「トップなんて人にさしてもらうもんじゃねえんじゃねえか」 不思議そうに俺を見るハセガワに俺は同意する。 世襲制みたいな指名制のようになってはいるけど、気に入らなければ学内抗争で奪い取ればいいのだ。 「だよねェ」 ハセガワは、俺が抱きとめている富田君を眺めてちょっとだけ罰が悪そうな表情になる。 「……ちっと、そいつヤりすぎちまった……そいつに何かされたわけじゃねえんだが。ついつい憂さ晴らししちまったかな」 まあ、戦意を失った相手をサンドバックにする真似はあんまり見たことがないので、本当に八つ当たりされていたんだろうなと見て取れる。 意識はかろうじてあるのか、眉を寄せて唸っているみたいだが、ぐったりとして動かない。 かなり酷いけど、重症ではなさそうだ。 とりあえず、ほっと息を吐いて富田君を担ぎ直した。 「昔から、トール君はヤッちゃん大事だからなー、トール君も東高に来ると思ってたケド」 あんまり勉強は得意ではなかった覚えがある。 「シロは引っ越したから、中学校は別だったもんな、ちと受験頑張った……」 きっと康史と一緒に同じ高校いきたかったんだろうな。康史は綺麗な顔して、スポーツも勉強もできるなんでもできるやつだった。 「ヤッちゃんと付き合ってるの?」 「おう……、すげえ大事にしてたのによ……」 苦々しくいうのは、金崎の一件がまだ尾を引いているのだろう。さっぱりとした性格のハセガワらしくもないが、それほどされたことは許せないことなんだろうな。 まさに地雷ってやつだ。 「……卑怯なコトしてスマネェな」 代表するつもりはないが、一応同じ学ランをきている仲間がしたことだから頭をさげておく。 「シロがしたわけじゃねえし………ヤスに痛ェ思いさせたくねえから、ヤスに突っ込んだことなかったのによ……。他のやつにやられるくらいなら、気にせず突っ込めばヨカッタ」 「……ちょ、そうなの?」 マジか。それは………意外っていうか。 そんなプラトニックなことあるのか。 「ぜってえ許せねえ……」 ぐっと拳を握りこむハセガワに俺は驚きを隠しきれない。 それは許せないだろうな……。 「いままで、セックスもせずに大事にしてたのか……なんて純情………」 「いや、セックスはしてたぜ。俺は頑丈だからさ、俺に突っ込ませてた」 ちょっとまて、ちょっとまって。ちょーっと待とうか?おい。 トール君、トール君、それはそれで違う気がしてくるぞ。頑丈だからいいってやつでは、ないだろ。 「頑丈だから………って……」 男同士って、ケツ使うんだろ!ぜってえ、痛ぇだろー。 痛いのは絶対イヤだ。 好きな相手でも、痛いのは勘弁だ。 「まあ、なんだかんだ、…………気持ちいいしなァ」 あ、気持ちいいんだ…………。 そっか、康史はよく女ったらしだってうわさで聞いているし、そういうのが上手なのかもしれない。 気持ちいいならいいよな。うん。 案外痛くないのか、ハセガワが痛覚麻痺してるのかはわからないけど、ちょっとだけ、俺も興味が湧いたような気もした。

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