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不倶戴天→sideT

「おい、寝てるのか?サイダーもってきたぞ」 声をかけられて重たい瞼をようやく開くと、真壁の顔がドアップで目に入る。 イケメンでムカつくとは思っていたが、近づかれてもアップに耐えられるイケメンさに腹がたつ。 鼻筋の通った彫りの深い顔。どこかに外国の血が入っているらしい。オレもクォーターなのだが、違いすぎる。 だけど坊主憎けりゃなんとやらでこんなイケメンすら憎いし、 オレは真壁のすること全てにイライラしてしまう。 真壁といえば、まるで仲のイイ友達を家にあげたかのように、いたれりつくせりしてくれる。 精神衛生上、これ以上コイツとは一緒にいたくはない。 「ンー、悪ィ。うとうとしちまった……、世話になったな………ソレ飲んだら………帰る」 ベッドから起き上がりかけて、ビリビリと全身に走る痛みに低く呻く。 やっぱり、このまますぐ帰るのはきっついな。 「気にすんな、泊まってけよ。今日は誰も帰ってこねえから、気を使わなくていいぜ。夕飯も作ったし」 オレは気にするし、大体オマエが嫌いだし。 見ててイライラするから、さっそうと帰りたいんだが。つい気になっで聞いてしまう。 「メシとか………オマエがか?」 「俺、料理スペシャリストだぞ」 サイダーの缶を俺に渡してから、少し自慢げに胸を張って言うと、椅子に腰を下ろしてオレの顔を見下ろす。 恩を売っているのだろうか。 それはないとはわかっていても、不自然に優しすぎるだろ。 オレが真壁を嫌っているのはわかっているだろうに余計な真似をしないでほしい。 なんだか余計にイライラがたまっていく。 オレだって、その優しさがオレだけにじゃなくて、誰にでも優しくて、アニキ肌で親切なのは知っているのだ。 だから、そんな人柄に惹かれたやつらが真壁の派閥には多いことも知っている。 「モトミヤには、ちゃんとオマエを取り返したって言っといたから」 やっぱし、思っていた通りに元宮が真壁に泣きついたんだな。 そう思うとグルグルとはらわたが煮えくり返る。 仲間達が、最後に頼ったのが彼だったことに。それ以上に、彼のようになれなかった自分が悔しくて悔しくて仕方がない。 真壁には助けられたのに、恩は恩だと感じているのに、こんなどす黒いキモチでいっぱいになるのはなんでだろう。 思わずカッとなって、サイダーを床に投げつけてベッドから飛び降りると、椅子に座っている真壁の首根っこをグイッ押さえつけた。 ガタンと派手に椅子が倒れて、椅子ごと真壁を押し倒すような格好になる。 ちょっと驚いたように目を見開くも、簡単に俺をのせるという自信があるのか、真壁にはまったく反撃の意思もなかった。 コイツの弱みを握って……。 もうオレに逆らえないようにしなきゃなんない。 屈辱をはらさないと、オレはこいつの前に出ていけない。 焦りばかりが脳を右往左往しやがる。 「なァ、オマエとハセガワの関係、バラしていいのか?」 真壁の顔が強張って、オレを見上げて一瞬ひるんだが、すぐにぎりっと奥歯を噛んだのがわかった。 3年間隠してきたことなのだろう。 オレがバラしたら、真壁がハセガワを標的にしている全校のマトになるのは見えている。 だから、オレは、卑怯モノになる……。 この世で一番嫌いな卑怯モノになってやる。

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