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自笑自若 →sideS

ちょっとばかり重い………ンだけどなァ。 何を考えているのかわからないが、富田君は酷く感情をあらわにしてイラついた表情で俺を見下ろしてくる。 地雷踏んだかな。 察しの良さそうな彼には、分かったに違いない。 自分の派閥の元宮が俺に助けを求めたこととか、富田君にとっては屈辱なんだろう。 あんなにサンドバッグにされても許しを乞わないくらいだし、プライドはやけに高そうだ。 富田君を見上げて、しまったなあとぼんやりと思う。 実際のところハセガワと仲良しだってバラされたら、ちょっと困るかもしれないなァ。 まあ、全部ぶちのめせば別にいいんだけど。あまり、それでも争いは避けたいな。 「えっと…………富田君、俺のことキョーハクしようとしてんの?」 俺の周りの奴等も巻き込むことになってしまうことも、鈍感なは俺でもわかる。 彼を助けようかと奥の手を使ったのは、間違ったかもしれないなァ。 でも、あそこでまともにトール君とやりあって、無事に富田君も自分も帰れた自信はない。 富田君は、どっちかっていうと正々堂々が好きなやつだと思っていたから、まさか脅迫されるとは思わなかったな。 ちょっと意外だけど、彼のタイマン要望をはねのけ過ぎたかもしれない。 ちょっと迷うような表情をして視線をゆるがせて、それでも頷いた富田君をぼんやりと見上げる。 自分でも、これは卑怯なことだなって思っているのかもしれねえな。 内容によっては、脅迫されてやってもかまわないか。彼の自尊心をあげてやるようなこと。 タイマンで負けてやるとか、かな。 「キョーハクして、俺にどうして欲しいの?」 重いなと思って、とりあえず富田君の下からごそごそと抜け出す。 昔イジメにあっていた時に、感情的になったほうが負けるということは学んできた。 感情的になればなるほど、自分の方が追い込まれていくということは知っている。 どんな時でも笑ったりしてるヤツの方が最終的には勝てるってもんだ。 「……なんで、アンタそんなに平気そうなんだよ。なんでも余裕そうにしてるそーいうとこが気にいらねえ」 「平気そうかな?」 まあ、感情を出したら負けだから出さないようにはしているけどな。 首を捻りながら、体を起こそうとしたのを富田君は腕を伸ばしてグッと俺の肩を床に押し付ける。 「アンタのそーいう態度が、オレをいらつかせんだよ。オレの脅迫なんか大したことねえとか、タカくくってんだろ」 良く分からないが、富田君は俺の態度が気にいらないらしい。 どうすりゃいいのかわかんねえなァ。 ちょっとめんどくさい。 熱い性格だけども悪い子じゃないんだけどなァ、確かに俺とは性格はあわなそうだ。焦ったり、感情的になることを予想したのかもしれない。 「でもよ、別に俺、富田君と争う気もテッペンとる気もねえし、オマエに得に働くような材料ねえぞ。大したことある交換材料には思えない」 俺の面倒そうな態度にやっぱりイラッときたのか、ギリギリ歯軋りをしているのが分かる。 負の感情丸出しで、今はまったく本当に隠す気もなさそうだ。 面倒だなァ。 こんなヤツだって知ってれば裏技使わなかったかもしれねーんだけどな。 でも、トール君と戦うのも嫌だったしな。 まあ、交換材料が気にいらなきゃ、殴って潰せばいいかな。 「………犯らせろ」 一瞬俺は面食らって、わけがわからず富田君を二回ほど見返した。 「え?ナニを?」 「ナニって、ナニだろ、セックスだよ」 そりゃあねェ、客観的に俺は自分を見てもそりゃないわって思うし、そりゃ悪食過ぎるんじゃないのかなァ。 じいちゃんも蓼食う虫もすき過ぎとかよくゆってたけどさ。 いやいや、だからと言って、ハイどうぞってやらせるわけにはいきたくないよな。痛いの嫌いだし、絵的にもイヤだし。 「えーーー、痛そうだからイヤだ」 あ、でも、トール君は気持ちイイとか言ってたっけな。気持ちいいなら、まあ、いいような気もするけどな。 とりあえずお断りしてみると、富田君は俺を床に押さえる力を強める。 「じゃあ、バラしてもいいんだな?」 それは困るな。 怪我して入院してまた留年するのは勘弁だし、面倒だから富田君をここで潰すのもな。 怪我してる相手にひどくするとか、やっぱり俺の性分とは違う。 「困るなァ」 「をい、ホントに腹立つな!困ってるような顔しろよ、アンタ」 精一杯困った顔をしようと思うのだが、あんまりうまくいかない。 赤い髪にすっきりした顔立ちで、ちょっと殴られて青タンだらけだが、そんなに悪い顔はしていない。どっちかっていうと女性にモテる部類の顔だ。 「富田君、別にオンナノコに困ってないでしょ?いないなら紹介するよ」 「勘違いするな…………。下半身に困ってるから言ってンじゃねえよ、アンタを屈辱的な目にあわせて、屈服させたいって言ってんの」 激昂する様子を見上げて、眉を寄せて怖い顔で青筋たてることもねえじゃねえかなーと思う。 男の俺に突っ込むより、オンナノコのが気持ちーのになァ。 セックスだけで、屈服とかするもんなんかなァ。 喧嘩で負けても、そんな屈服とかおもわねえし、どうなんだろうなァ。 「屈服なァ……。よっくわかんねえケド、バラされっと、ちょっとばかり困るから、しょうがねーからヤられてやんよ」 ちょっと挑発するように笑って、俺の肩を押さえ込む富田君の腕をぐっと引いて、怖い顔を覗き込む。 「あ、でも、優しくしてね。できたら、気持ちイイヤツ希望」

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