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深夜零時
本当は太宰にも解っていた。中也が悪い訳では無く、太宰に隠し事をする事が困難だという事を。
だからこそ其の日を迎える前に死を、あまつさえ別離を果たす事が出来たならば此の愛しい恋人はどれ程悔しがる事だろう。
もし、あの日あのような形で出逢っていなければ、もっと良好な関係を築けて居たのだろうか。あの日出逢っていなければ、違う出逢い方をしていたならば、君を愛さなければ。
来世でも亦出逢う事が出来るだろうか。其の時は、叶うのなら今よりはもう少しマシな出逢い方をしたい。愛しても、愛さなくても。隣に居る事が当たり前で、其れは酸素のようなもの。いつだって必要として、いつだって寄り添える関係――言葉が無かったとしても。
今よりはもう少し善い関係を築く事が出来たならば。
深夜零時、教会の鐘が鳴る。
白い装束を身に纏った太宰は鉄製の重い扉を開く――
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