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目が覚めたら……。

「なんでいきなり圏外!? 何だよいきなり!」  携帯電話を真上に翳してもアンテナはまったく反応しなかった。    クソッ……!! 携帯電話が使えなくなると無性に苛立った。取り合えず明かりとしては使えた。その間に携帯電話をいじくってみた。 よく見ると履歴が全部消されていた。さらに着信履歴も全部消されていて、電話帳のリストもいくつか消されていた。 あるのは実家の番号と兄貴の番号と親友の真樹の番号とあとは知り合いの番号が2人程だった。それ以外は全て消されていた。 ただ一つ見知らぬ番号が一つ登録されていた。 「080-88**-****……? だ、誰だこれ……?」 そこには知らない番号が1つ登録されていた。名前も書いてなかった。その番号に先入観を抱くと、一つの考えが頭に浮かんだ。 も、もしかして……。 もしかしてこれって、俺を連れ拐った奴のか……?  そうおもった瞬間、全身から血の気が引いた。こんな番号を登録した覚えもない。俺は見知らぬ番号に体が凍りつくと寒気すら感じた。  まさかこれにかけろってことか……? 揺れる箱の中で携帯電話の画面をジッとみながら自分の爪を噛んだ。  ここにかけたらどうなる……?  いや、かけない方がいいのか……?  むしろここにかけたら、俺はどうなるんだ……?  色々な事が頭の中に浮かんできた。それは人が恐怖に追い詰められた時に考えるような心理状態だった。俺はそれ程まで、精神と肉体が何者かに追いつめられていた。喉が妙に渇くと水が急に飲みたくなった。周りを見て確認すると、頭の上にペットボトルが一つ置かれていた。  み、水……!?  頭の上に置かれていたペットボトルに手を伸ばすと、それを飲もうと急いでフタをあけた。 ――いや、待てよ。  この水は本当に安全な水のだろうか?  もしかしたら毒が入っているかもしれない……! そう思った瞬間、開けかけのフタを閉めた。得体の知れない水が入ったペットボトルをこの状況で何も考えずに飲んでいいのか……!?   もしかしらこれは罠かもしれないだろ……!?  飲むのは駄目だ! 止めとこう!  喉の渇きを抑えると、そこで飲みたい気持ちをグッと堪えた。

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