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目が覚めたら……。
水を飲まずに喉の渇きを我慢した。携帯電話は今だに圏外だった。何が使えるだ。携帯電話は、こんな時ほど心底役にはたたない。それに親友の真樹は俺のピンチもお構い無しに女とSEXしてやがった。
親友の癖に最低な奴……!
怒りが込み上がってくると無意識に箱を叩いて憂さ晴らしをした。手を下に降ろすと、なにかに触れた。その感触はツルツルした物だった。何気なく手にとって見るとそれは写真だった。
なっ、なんだよこれ……!?
携帯電話を翳して見ると周りには写真が何枚か、ばらまかれていた。
「っ……!?」
写真を見た瞬間、顔が青ざめた。そして、俺は言葉を失った。写真には自分が眠っている姿が写ってあった。そして、写真を拾うごとにそれぞれ違う様子が写し出されていた。
その写真を見ると急に全身から鳥肌が立った。ゾッとするような寒気が襲うと、気持ちが悪くて吐き気すら感じた。
一体、誰がこんな写真を……!?
写真を見るのを止めると他に何かないかを確認した。周りをよく見ると、何故か箱の中には赤い薔薇の花びらが無数に落ちていた。ますます理解不能になってくるとそこで考えることを止めた。いや、考えたら余計に怖くなっていく恐怖心からだった。
車は今だにどこかに向かっていた。携帯電話の画面を見ると日付は10日になっていた。時刻は0:00だった。暗闇の中で携帯電話の明かりを頼りにアンテナが復活するのを待った。30分くらい経った頃でようやくアンテナが復活した。俺は直ぐに警察に電話をしようとした。するといきなり見知らぬ番号から電話がかかってきた。見知らぬ番号の相手から電話がかかってきた。それに出るか一瞬迷ったが。連れ拐った相手が、誰かを確かめる為にも勇気を出して電話に出た。
「……はい」
長い沈黙のあと応答した。
「気分はどう?」
「……!?」
電話が越しから聞こえたのは、聞きなれない『男』の声だった。
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