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目が覚めたら……。
「箱の中の居心地はどう?」
「居心地……?」
「ふざけるなッ! 人を勝手に連れ拐っておいて居心地はどうかだと…――!? そんなの、最悪に決まってるだろ! 早くここから出せよ!!」
声を張り上げると怒りを爆発させた。すると電話から犯人が笑っているような声が聞こえてきた。
「何笑ってる!? 人の気も知らないで笑うな! お前の目的は一体なんだ!?」
怒りがおさまらず、拳で木の板を叩いて感情を剥き出した。犯人はそんな俺の怒りなんてお構い無しに、違うことを質問してきた。
「あ、そうそう。薔薇は気に入ってくれた?」
「薔薇だと……!?」
「入ってるでしょ?」
「……」
「よく見てごらんよ」
「……」
犯人は電話越しで指示をしてきた。携帯電話を翳して周りを見た。すると自分の足下に折り曲がった赤い薔薇が一本落ちていた。それを見て確認すると、電話越しで質問をぶつけた。
「……あれはどういうつもりだ?」
質問をすると犯人は電話越しで答えた。
「ねえ、キミが入ってるのって箱の中?」
「ああ、アンタが勝手に俺をここに押し込めたんだろ!」
「どんな箱だと思ってる?」
「……ッ!?」
犯人がそのことを質問してくると、俺は有りのままを答えた。
「木の箱だろ……?」
「そうだね、そのとおりだよ。でも、ただの木の箱だと思ってる?」
「それはどう言うことだ……?」
「よく考えてごらんよ。箱の中に閉じ込められたキミとその箱の中に入ってる薔薇の花。もう意味は、わかったかな?」
「何だと……?」
犯人は電話越しでククッと怪しく笑った。箱の中に閉じ込められた俺。それに薔薇の花……?
一体、犯人は何を考えてる……?
これになにか意味があるって言うのか…――?
閉ざされた暗闇の中で携帯電話の明かりを頼りにそのことを考え始めた。
おちつけ、とにかく犯人の思考を読むんだ…!
これには何か意味があるはずだ……!
いや、寧ろこれに意味がないほうがおかしい!
箱の中に閉じ込められた俺。
そして、薔薇の花。
犯人は一体なにを考えているんだ……!?
研ぎ澄まされた緊張感が漂う中、必死でそのことを考えた。『箱の中』『閉じ込められた俺』『薔薇の花』。沈黙したまま考えていると、急にあることが頭の中で過った。 それは最も最悪な考えだった。
「どう、やっと気がついた?」
「……くっ!」
「じゃあ答えてごらん」
「ふざけるな!こんな事、許されると思うなよ!」
「答えないの? じゃあ、答えてあげる。キミが入ってる箱の中ってまるで棺桶みたいじゃないか――」
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