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回想―悠真―

 そうだ。確か介抱されてる時に、真樹が誰かと電話で話してたような。それでそのあと、直ぐにタクシーが来て誰か乗ったような。 あれ、自分でもタクシーに乗った記憶がないぞ?  それどころか、誰かに体を支えられながら歩いていたような。 それでそのまま、どこかの店に入ったような――?  その瞬間、再び頭がズキズキしてきた。  酷い頭痛だ。 何かを思い出そうとすると必ず頭痛がしてくる。 そこを朧げに思い出すと何故かジャズの音楽と、お酒の味を思い出してきた。そしてカウンターの席で隣にいる男を一瞬だけ思い出した。  あれは真樹だったのか?  何故か見た顔が思い出せない。  俺はあの時、誰と――。  思い出してる途中で意識が完全にプツリと途絶えた。まるで糸が切れたかのように何も思い出せなくなった。そしてやがて意識は遠退いた。

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