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─輪─
「――にしても悠真ねぇ。あいつホントに、何処に行っちゃったんだろ。心配だなぁ……」
「……っ!?」
その言葉に反応すると、俺は真樹の方を見て疑った。やっぱり何かを知っているに違いないと、悟った。だが、これ以上は面倒な事に巻き込まれたくない俺はあいつの何気無い呟きをその場で、聞かなかったフリをして目を反らした。
「俺の大事な大事な友達。あいつさ、昔から凄く良い奴なんだよ。それにさ、弟みたいに可愛気もあるし。早く無事に見つかると良いなー」
「っ……」
「何だよ?」
「べ、べつに……!」
「あ、お前もしかして俺のこと疑ってる?」
「疑ってなんか…――!」
「疑ってるならマジでキレるぞ? 俺はな、あいつが居なくなった事には関係ない。あいつが勝手に何処か消えたんだろ。ったく、どいつもこいつも悠真悠真ってよ」
真樹はそう言ってイラつくと舌打ちした。そう言えばこの間だ俺達の前に姿を現した時こいつはイラついていたな……。
――だが、そんなことは俺には一切関係無い。出来たら関わりたくない。そう脳裏に思いが過った。
「悠真はそのうち自分から帰ってくるさ。みんな少し大袈裟だよな……?」
そのまま下を俯いて話すと半笑いをした。今、自分がどんな表情で相手に話しているかもわからない。だけど顔がひきつってるのは事実だった。
「お前、本当にそう思ってる?」
「え……?」
いきなりそう言って来ると顔を覗き込むようにジッと見てきた。その言葉に俺はギクリとした。その視線は鋭い刃物のように人の心を射抜く様な冷たい瞳だった。その目で見られると思わず声が裏返って動揺した。
「はっ、話はそれだけか……!? 悪いけど俺、今から大学に行くんだ…――!」
そう言って慌てて席を立とうとした瞬間、あいつが腕をグッと掴んできた。
「今日は大学なんて休んで俺と付き合えよ?」
「え……!?」
そう言っていきなり誘うと、立ち上がった俺を椅子に座らせようとした。そしてパチンコの台にお金を入れてきた。
突然の事に動揺すると唖然となって固まった。パチンコの台からは、玉が出てくる音が鳴った。その音を聞いた瞬間、喉が今まで以上に乾いた。そして、段々と呼吸も荒くなった。
「今日は俺の奢りだ、楽しめよ」
「ッ…――!?」
あいつはそう言って誘ってくると俺を見てニヤッと笑った。
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